内容説明
私道が舗装してあることがステータスシンボルになる町。キャリーンが五年ぶりに帰ってきたレイク・ヒッコリーは、昔と変わらない懐かしい場所にみえた。しかし、開発業者ウイットソンが市長に当選して以来、高級住宅地が造成され、そこには立派な道路が敷かれているのに、旧市街の道路に路肩さえないのだ。キャリーンは、亡父の選挙参謀たちに勧められるまでもなく、ガソリンスタンドを経営しながら永年市長を務めた父の生きかたを引き継ぐべきかもしれない、と思いはじめた。それでも、ほんとうに立候補の決意を固めたのは、早朝の路上で金髪の魅力的な男性の車にひかれかけたときだった。彼が現市長で、選挙戦のライバルとなることも知らずに。