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内容説明
十九世紀半ば、ヨーロッパには革命の嵐が吹き荒れていた。ロシアからの亡命貴族の娘であるジュリーは働く必要などなかったが、トリノにある病院の看護婦としての務めに使命感を感じていた。彼女には他者の痛みを感じ取り、癒すという天賦の才があったのだ。あるとき、ハンガリーの亡命貴族、テオが入院してくる。彼は心と体の古い傷に長く苦しんできたのだった。手術とジュリーの看護で体の傷は癒えたが、心の傷はそうはいかない。四年前彼に大けがを負わせ、恋人を略奪していった男への復讐心が、今日までテオの生きる支えとなっていた。体を治したテオは、今こそ憎い相手のいるロシアへとおもむき、恋人を取り返して男の息の根を止めてやろうと奮い立つ。ちょうど妻ある人へのひそかな恋心に悩み苦しんでいたジュリーは、夫婦ものの民間人を装って旅をしたいテオに協力を申し出る。かくして、イタリアから海を渡り、戦火をくぐってクリミア半島へと、愛と復讐の交錯する旅路が始まった…。