内容説明
失った戦友たちへの思いを胸に、彼は再びビジネスという名の戦場へと向かっていく。ベンチャースピリット溢れる豪快華麗な生涯を描きだす大型評伝、ここに誕生!
目次
第1章 復員兵ベンチャー起業家(復員船での誓い;護国神社で見た衝撃の光景 ほか)
第2章 男の戦争、男の敗戦(日本最強の商人集団・近江商人;仙台を追われて ほか)
第3章 ブラジャーでビルを建てた近江商人(ロミオとジュリエット;社長退任と引き替えに手に入れた製造工場 ほか)
第4章 相互信頼の経営(命がけの労使交渉;開眼した相互信頼の経営 ほか)
第5章 アメリカに商売を教えてやる!(アメリカ進出;“新経営の神様”稲盛和夫との友情 ほか)
著者等紹介
北康利[キタヤストシ]
昭和35年12月24日、愛知県名古屋市生まれ。富士銀行入行。資産証券化の専門家として富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長等を歴任。平成20年6月末にみずほ証券退職、本格的に作家活動に入る。著書に『白洲次郎 占領を背負った男』(第14回山本七平賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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TATA
33
ワコールの創業者、塚本幸一さんの評伝。過酷なインパール作戦を生き残り、強い信念をもって優れた経営者に。山あり谷ありなんだけど、まあいいことが多いのでどうしても日経の「私の履歴書」を読んでいるような印象。戦後、日本メーカーの成長を支えたものはこういった戦時体験をもとにした信念と覚悟だったのかと感じる。ワコールは男性諸氏にはなかなか縁遠い会社なんだけど、読後、なんかないかなと同社ホームページを覗いてみる。うーん、いやあ、やっぱりちょっとムリかなあ。2023/12/03
Meme
14
先機を制すに重きを置くマインドに心惹かれます。いま違法とされる手段の歴史的背景も見えたような気がしています。グレーゾーンにおける戦い方は、何を優先するかで決まり、必ず失うものはあるという覚悟が必要なんだと感じました。塚本さんの場合、段階的に視野を広げていくのではなく、やはり広がっている視野に自分のピントを合わせていく生き方なんだと思います。人の人生をリアルに味わってみたいと思うほどに老いてきたかもしれません😅2023/09/04
うちこ
8
稲盛和夫さんが亡くなられたときにヨガの先輩がいくつか本を貸してくれて、そこに登場した塚本さんの自伝を読んだことがありましたが、この本はキーパーソンとなった女性社員への取材から書かれた内容もあり、過去ログの寄せ集めじゃない充実の内容です。 興味深かったのは、塚本さんが初年兵教育隊に総務経理担当として出向していたときに兵士の屎尿を売るビジネスを始めていた話。栄養価の高いものを食べる兵士の屎尿を周囲の農家が肥料に買いに来ていたそうです。この話のあとにインパール作戦の話になります。ドキドキハラハラする展開です。2023/09/01
ビーグル犬大吉
5
戦後、女性の下着の時代が来ると予感し、世界のワコールを一代で築いた塚本幸一の物語。ただ、インパール作戦に従軍し、生存者55人中3名という厳しい戦況の中、下士官に過ぎなかった塚本が生き残れた理由がわからなかった。それこそが、もっと深く知りたかった。ダイエーの中内功や平和堂の夏原平次郎も復員後、起業したことに共通点がある。かつて上官だった藪中謙二をクビにした時は溜飲が下がる思いだった。無能な人間が戦場で指揮を執っていたから多くの兵士が犠牲になったと思うと今も怒りが収まらない。財界人との交友録も興味深かった。2024/02/15
都人
5
塚本幸一氏のイメージはブラジャーというよりパンツの方がと強いと京都人は思うが、それは当時の京都府知事蜷川虎三氏が彼を「パンツ屋」と呼んだからだ。京都商工会議所会頭時代の塚本氏には何回かお目にかかった事がある。滋賀県生れだとばかり思っていたが。2023/09/12