内容説明
センスメイキングは、人文科学に根ざした実践的な知の技法である。アルゴリズム思考の正反対の概念と捉えてもいいだろう。
目次
序 ヒューマン・ファクター
第1章 世界を理解する
第2章 シリコンバレーという心理状態
第3章 「個人」ではなく「文化」を
第4章 単なる「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」を
第5章 「動物園」ではなく「サバンナ」を
第6章 「生産」ではなく「創造性」を
第7章 「GPS」ではなく「北極星」を
第8章 人は何のために存在するのか
著者等紹介
マスビアウ,クリスチャン[マスビアウ,クリスチャン] [Madsbjerg,Christian]
ReDアソシエーツ創業者、同社ニューヨーク支社ディレクター。コペンハーゲンとロンドンで哲学、政治学を専攻。ロンドン大学で修士号取得。現在、ニューヨークシティ在住
斎藤栄一郎[サイトウエイイチロウ]
翻訳家・ライター。山梨県生まれ。早稲田大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あすなろ
65
書店で気になって購入した一冊。自然科学尊ばれる世で人文科学が軽んぜられる世の傾向。それに警鐘鳴らす。平たくゴルフやジャズはどうだろうか?教則本や楽譜通りだけで達人などいないだろう。基礎はその本・楽譜だが、そこには人が介在し緻密に断続判断している。それがメンタルや天候・風、雰囲気からのアドリブとなり達人プレーに帰結。達人の域に達するには多くの世界に入り込み共感・体感し厚いデータを会得することが重要。経営という事象も同じ。事象からある一定の距離を置いて厚いデータから反応する心を養う事が重要。その標は人文科学。2019/05/19
hit4papa
60
所謂、リベラル・アーツが重要よね!っていう自己啓発本です。本書によると、センスメイキングとは、人文科学に根ざした実践的な知の技法。五原則が謳われていますが『「動物園」ではなく「サバンナ」を』のように、パッと見よく分かりません。これに惹かれて精読しても、自己啓発本好きにとっては、目からウロコとはならないでしょう。創造性に関しては、文系にとって大いに励みになることは確かなのですが…。デザイン思考を、でたらめセンセーションの構造と、ボロクソ言ってるのは面白いですね。ここだけ立ち読みでオッケーかもしれません。2021/06/23
タナカ電子出版
44
この本は理屈っぽい選択よりも 直感的選択をセンスメイキングとしてどのような判断力がこれからの時代に必要になるのかを主張した本です。その選択を良い判断に導く5つの原則 ①個人<文化 ②薄いデータ<厚いデータ ③動物園<サバンナ ④生産<創造性 ⑤GPS<北極星 それぞれ章にわかれて説明していますが、要するにこれからの社会はAIやIOTのテクノロジーに理屈は任せて、人間はさらに人間力の強化を方向に努力するように説いた本です。2019/04/09
Kentaro
33
今や人々は、STEM(科学・技術・工学・数学)や「ビッグデータ」からの抽象化など理系の知識一辺倒になっているため、現実を説明するほかの枠組みが絶滅寸前といってもおかしくない状況にある。人間のあらゆる行動には、先の読めない変化が付き物なのだが、理系に固執していると、こうした変化に対して鈍感になり、定性的な情報から意味を汲み取る生来の能力を衰えさせることになる。世の中を数字やモデルだけで捉えるのをやめて、真実の姿として捉えるべきだ。文化的知識(人文科学的な思考で育まれた知)の価値は間違いなくあると著者は言う。2019/02/08
hiroizm
22
NHKのマルクス・ガブリエルの番組で著者を知り読書。様々な分析、判断には数量的データだけでなく、文学、哲学、歴史、心理学など人文科学の厚みある知識も重要とするビジネスマン向け指南書。荒れる相場で多額の損失を出しつつ大逆転の一手を打つ著名トレーダーのソロスの逸話等様々な実例を示しつつ、解決策を見出す人文知とは何かを解説する。文章は明解、後半に行くにつれて面白みが増し、ほとんど一気読み。2020/06/13