内容説明
名作『山椒魚』の著者・井伏鱒二さんの90歳(卒寿)の誕生日を記念して贈る、井伏文学の真髄―美しい童話と詩の世界。
目次
トートーという犬
すいしょうのこと
白孔雀
詩5篇(石地蔵;勘蔵さん;魚拓;蟻地獄;なだれ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
52
最近、木山捷平や小山清、上林暁といった井伏鱒二の近くにいた人達の本を読む事が増え、それで読んでみた『厄除け詩集』も素晴らしく、同郷人でありながら、ソロリソロリと井伏鱒二に近づいている。本書は井伏鱒二が白寿を記念して出した童話集。童話3本と詩が5篇。しかし詩は『厄除け詩集』に載っているものである。この3本の童話がまた独特で、どれもそこはかとなく可哀想な話なのだが、淡々と綴られる。日常生活というのは、いつもこんなペーソスが貼り付いているよなぁ…と考える。童話だがこの味が子供にわかるかな?と思うが、いい本。2019/08/23