内容説明
ここに出版されたテクストは、著者が1994年7月13日にデュッセルドルフ市にあるノルトライン・ヴェストファーレン州学術アカデミーで行なった同名タイトルの講演をもとにしている。
目次
リアリティの二重化という分化
自己言及と他者言及
コード化
システムに固有な普遍性
ニュースとルポルタージュ
リクペロ
広告
娯楽
統一体と構造的カップリング
個人
リアリティの構築
構築というリアリティ
マスメディアの機能
公共圏
スキーマの形成
パラドックスとしてのセカンド・オーダー・サイバネティクス
著者等紹介
林香里[ハヤシカオリ]
1963年名古屋市生まれ、ロイター通信東京支局記者、ドイツ、ハンブルク大学社会学第二講座客員研究員等を経て、東京大学大学院情報学環助教授。専門はジャーナリズム・マスメディア研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
本書はシステムとしてマスメディアのリアリティの作動を、オーディエンス側の情報に対する「先有傾向」とマスメディアに対する「選択的接触」という概念を用い、受け手側がすでに持つ知識をマスメディアを通して選択することで個々のリアリティが作動し継続すると捉える。その際両者の直観性を検討する本書は、マスメディアの情報過多に対する態度として、過去の知識や経験の構造化された集合という認知科学のスキーマ、それを時系列的に構造化するスクリプト概念を導入する。著者はこの直観的なリアリティ形成をセカンドオーダーにおいて観察する。2024/07/18
ぷほは
0
ここのところルーマンについての発表が重なったので、再読。機能システムとしてのマスメディアのコードは「インフォメーション/非インフォメーション」と定義されていることについてはルーマン研究者内部で異論が出るところだ。曰く情報とは伝達や理解と並びコミュニケーションや知覚の一般的な要素なので、機能システムとしてのコードとしてふさわしくないのではないか、報道の斉一性や情報の新奇性などで考えた方がオートポイエーシス論としても整合的なのではないか、等等。しかし今回再読してみて、思ったよりこの問題は根が深そうだな、とも。2015/04/27
Ecriture
0
いいじゃない横書きでも(笑)「マスメディアはいかにしてリアリティを構築するか」という問いに答えようとする1冊。ニュース、ルポルタージュ、娯楽と細かく定義づけをやっていく。他の本で情報と媒体、意味の関係はルーマンがいいこと言ってると知ったので読んだが、なんせ難しい。久しぶりに混乱した。何度かちょこっとはさんで来る宗教とシステム論の話がやたらおもしろい。2009/04/08
じょに
0
横書きなのがいらつく