内容説明
都市は迷宮であり、劇場だ。そこで人々は自らの物語を作り出し、物語を生きる。「郊外住宅/アパート」「電車/円タク/地下鉄」「デパート」「カフェー」「放送局」「競技場」「ダンスホール」。1920年代から30年代の、驚きと輝きに満ちたモダン都市で人々を魅きつけたトポスは、いかにしてテクストに織り込まれたのか。都市の表情と心性を活写し、その歴史的記憶をとじこめたテクストを読み解き、見慣れた都市のむこうに、未だ知られざる風景を鮮やかに探り出す。
目次
テクストのモダン都市
郊外住宅/アパート
電車/円タク/地下鉄
デパート
カフェー
放送局
競技場
ダンスホール
新たな「知」の世界へ―幻影の都市、幻影の人々、幻影のざわめき
感想・レビュー
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1999年刊。1920~1930年代の東京における都市のモダニティを「郊外住宅/アパート」「電車/円タク/地下鉄」「デパート」「カフェー」「放送局」「競技場」「ダンスホール」というトポスをキーとして、小説やエッセイ、詩、短歌といった文学テクストによって織り成された言語都市と感応させながらガイドしていく。文学者、芸術家と馴染み深かったと聞くカフェーについての章が、読んでいて煌煌しく感じられた。なお、現代の古書目録について記した終章が個人的に一番面白かったのは、何だか申し訳なく感じてしまった。 2018/11/04