内容説明
わたしから、あなたへ。1913年、アジア初のノーベル文学賞受賞。新訳でよみがえるタゴールの詩のこころ。
目次
あなたは、わたしを果てしないものに
あなたが歌をうたいなさいと命じると
わたしは知らない
わたしのいのちのいのちよ
あなたのすぐそばに
このささやかな花を
わたしの歌は飾りを棄てた
こどもは王子の礼服を着て
愚か者よ、おまえは
これは、あなたの足をのせる台〔ほか〕
著者等紹介
タゴール,ロビンドロナト[タゴール,ロビンドロナト] [Tagore,Rabindranath]
インドの詩人・思想家。1861年カルカッタ(現コルカタ)生まれ。1913年、英文詩集『ギタンジャリ(歌のささげもの)』によって、アジア初のノーベル文学賞を受賞。インドの近代化と東西の文化交流に貢献した。インドおよびバングラデシュの国歌の作詞作曲者としても知られる。1941年歿
川名澄[カワナキヨ]
1960年愛知県名古屋市生まれ。文筆家・翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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旅するランナー
213
台湾映画「返校」。国民党による反体制派への政治的弾圧の時代。命がけの読書会で大切にされていた禁書の一つがタゴール詩集であった。自由、愛、命、死、希望、幸福を歌い上げる。1913年、52歳で非欧州人として最初のノーベル文学賞を受賞した、このインドの詩人の素朴で、宗教的で、美しく力強い言葉が、体制側を恐れさせた。そんな書物の力にうっとりしてしまう。2021/09/10
いやしの本棚
17
タゴールの詩って…たとえば西條八十とか片山廣子とかの格調高い訳を思い出すけど、この詩集はいま生きている言葉(光文社古典新訳じゃないけど)で訳されている。いま訳す意味って、そういうことかなと思う。みずみずしいタゴール。「いのちと死という双子のきょうだい」、つまりそういうことが詠われていて、笑い声も、苦しみも、涙も、沈黙も、全てがいのちと死の廻る世界の「よろこび」と表現されていることに、タゴールのつよさを思った。シンボルスカのつよさも思い出す。わたしにはまだ、そんなふうに感じることができない。2017/07/31
猫森
7
「ほんとうのわたしに近づく道がいちばん遠い。このうえなく単純な音楽を奏でる練習がいちばんふくざつだ。」ピアノを習っていた子供の頃、途中までは楽しかったのだが、4,5年経ったとき、曲らしくない練習曲がずっと続いて退屈になってしまい、やめてしまった。あれは、更に難しい曲にチャレンジするために必要な鍛錬だったのだ、と30年経った今タゴールに教えられた気がする。2022/02/03
更紗
4
以前は違う訳者の方のを読んでいましたが、ボロボロになったため、新しく購入しました。柔らかく優しい訳で、読了後は温かな気持ちになります。 一生大切にしたい詩集です。2024/01/16
Jack Amano
4
これまで読んだことのある詩集の中では、とても心に残るというか、響く内容の詩集でした。ベンガル語の原本では、ベンガル語特有のリズム感などがあるらしいのですが、この日本語訳も翻訳っぽくなく、詩集として普通に読めて非常に良かったと思います。何度も読んで楽しみたいと思います。2021/02/02