内容説明
あなたが何者なのか、あなたには見えていない、あなたに見えているのは、あなたの影。アジアで初めてのノーベル文学賞に輝いた詩聖タゴール。1916年の日本滞在にゆかりのある珠玉の英文詩集、初版英文テキストを併記した完訳版。
著者等紹介
タゴール,ロビンドロナト[タゴール,ロビンドロナト] [Tagore,Rabindranath]
インドの詩人・思想家。1861年、ベンガル州カルカッタ生まれ。1913年、英文詩集『ギタンジャリ(歌のささげもの)』によってアジア初のノーベル文学賞を受賞。1941年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かりさ
93
「夏の迷い鳥が、わたしの窓にきて、うたをうたい、飛び立つ。そして、秋の黄ばんだ木の葉が、うたうでもなく、吐息まじりに舞い散る」歌うような軽やかさ、光をたたえた澄明さ、その光が生む闇の色濃さも持つタゴールの詩。太陽と星、空に雲、朝が来て夜を迎え、四季の折々を歌う、光があり闇が生まれ、生と死を思う。そこには愛があり人々の営みがあり、それらを優しい言葉で紡ぐ。何度も読み返したい詩集です。好きな詩「わたしの人生のなかには、がらんどうでしんとした場所がある。それは、わたしのいそがしい日々が光と風をはらんでいた空間」2017/02/01
いやしの本棚
15
タゴールの詩はシンプルでつよい。儚い、危ういところが全くない。迷い鳥のような気分でいる時、よりかかれる大きな樹という感じ。収録詩は、ロス『死ぬ瞬間』にも引用されている。日野原重明先生は「死んでいく人の心理をリアルに示すために書いた」本に、なぜロスがタゴールを引用したのかよく分ると述べている。「こんなにみごとに命というものを表現した詩はない」と。自分はいくら生きても、タゴールのように「世界に生きていることが」「わたしはうれしい」とは言えないだろうと思う。でもこの頃やっと、愛は信じてもいいような気がしてきた。2017/12/02
ndj.
10
E・キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』各章のエピグラフにおかれていた言葉が印象的だったので。他にも訳本はあるが、右ページは英文、左ページは訳文の構成になっているのでこれを選択。詩集、というよりもとびきり抒情的なアフォリズム集といった趣で、すさんだ心を静めるのに少しずつ読み進めた。「わたしは、いちばんよいものを選ぶことができない。いちばんよいものが、わたしを選んでくれる。」あまりに美しすぎてすさんだ心では受け付けられない断章も多々あるけれど、それらはまた、いずれ時を改めれば違った印象を与えてくれるだろう。2016/09/15
ジュンコ
8
純真さと優しさの中にある強さ。やわらかく、美しい言葉たちが詰まった宝石箱みたいな詩集。2015/12/06
はゆ
5
アジアで最初のノーベル文学賞をとったインドのタゴールの詩集。全ての意味はわからない。だけど、言葉の魔法にかけられる瞬間がたくさんあった。自然の美しさを神秘的に表現していて、すごく好き。詩集は、たまに衝動買いしてしまうけど出会えて良かった一冊でした。2016/05/05