内容説明
銀河鉄道は、現世への思い遺しを乗せて、死者の魂を彼岸へと誘う音楽の響きそのものであった―。草稿から読み解いた「ゴーシュ論」を含め、音楽美学者の視点が描いた、斬新な宮澤賢治論。
目次
かっこう鳥と「星めぐりの歌」
ジョバンニの耳
ゴーシュの音楽美学
賢治の蓄音機への旅
エピローグ―ほんとうの幸福を生み出す力としての音楽
著者等紹介
西崎専一[ニシザキセンイチ]
1948年、北海道室蘭市生まれ。神戸大学大学院文学研究科芸術学芸術史専攻修了。現在、名古屋音楽大学教授、南山大学、金城学院大学非常勤講師を歴任。約20年にわたって「音楽之友」誌「日本経済新聞」などに演奏会批判を執筆。専門は音楽学なかでも音楽美学、サウンドスケープ論。サウンドスケープ関係では、岐阜県旧郡上八幡町の環境音の調査に従事、「時鐘や夜回りの音が住民生活に寄与するもの」、さらに「観光化に伴う郡上踊りの騒音化と住民意識の関わり」、などをリサーチする。音楽美学では音楽という現象の持つコンテクストの拡がりと人間の意識の関わりを探る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kaname Funakoshi
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チェリストとしてゴーシュに足りなかったものは、冒頭に楽長が示した、ノリ、表現、アンサンブル、そして音楽の意味。これを猫、カッコウ、狸、ネズミに教えられ、その後の空白の6日間で自分のものにしていった物語を、音楽そのものの観点で読み直す本。ほかに「銀河鉄道の夜」の音世界など。2016/10/11
pepetina
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昔はさほど思わなかったのに、最近になって宮澤賢治が妙に気になる。こちらを読んで、すぐに「セロ弾きのゴーシュ」を読みました。印度の虎狩り、どんな曲なんだろうと気になったり、あの後の猫やかっこうはどうしたんだろうと考えたり。 もう一度読んで良かった。 宮澤賢治の作品を「音楽」というキーワードで読み解く、分かりやすい本でした。2013/09/20