内容説明
戦後という時代を全力疾走で生き抜いた稀有な作家、井上光晴。井上が全身全霊を込めてその文学精神を継承しようと取り組んだのが「文学伝習所」だった。その生徒として身近に接し続けた著者が、映画『全身小説家』が描いた浅薄な井上光晴像を排し、生身の作家像を描く。
目次
プロローグ 別れの宴
1章 佐世保文学伝習所へ
2章 熱情の日々から日常へ
3章 文学伝習所の変質
4章 病を抱く人
5章 暗転
6章 映画『全身小説家』のこと
7章 鴉のいる風景
エピローグ 崎戸島の大煙突
著者等紹介
山下智恵子[ヤマシタチエコ]
1939年、名古屋市生まれ。1961年、名古屋大学文学部卒業。1976年、『婦人公論』女流新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小谷野敦
4
名古屋大仏文科を出て主婦をしながら小谷剛の「作家」に参加、婦人公論女流新人賞をとり、井上光晴の文学伝習所に参加した人が井上の思い出と映画「全身小説家」のことなどを書いている。大学で小説を教える非常勤講師をしたとか自治体の委員になったとかいうので驚いたが、名古屋住みだとそういう地方文化人枠があるんだなと思った(東京ではない)全体としては冷静でしっかりした筆致で、もうちょっとメジャーな出版社から出てもいいくらいだと思った。2023/05/25
ユ-スケ
0
光晴さんがやっていた文学伝習所とはどんなところだったのか 志高くはじめたのだろうが、さまざまな俗事が重なり、衰退していくということはよくあることかも、と感じた ただ、初期生の著者が著した巻末の短編はやはり光晴さん直伝、素晴らしいのではないか2016/02/21
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