内容説明
「辛い時苦しい場所にいる悲しい人に、この本や私の声が届いてくれることを―」夜空に降る星のように明滅する悲しみと安らぎ。新鋭写真家とのコラボレーションによる、新しい地平を拓く第一歌集。
目次
フォルテピアニシモ
蜻蛉界
pigeonblood
海底
フラッシュバック
わたしは今も
flare
檻
薄氷
壊さぬように〔ほか〕
著者等紹介
伊津野重美[イツノエミ]
1995年より作歌を始める。2000年より朗読の活動を始め、企画・構成・演出・出演多数
岡田敦[オカダアツシ]
写詩集『Platibe』(窓社)で2002年富士フォトサロン新人賞受賞。写真集『Cord』(窓社)で2004年木村伊兵衛賞最終選考ノミネート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
June
14
伊津野さんは「えーえんとくちから」の編集委員。笹井さんとの関係はよくわからない。伊津野さん本人も病を抱えており(音楽活動もしている)、この歌集には入院中であろう歌やネガティブな歌が並び、ひどく痛々しい。特に母親を詠んだ歌はなんともいえない。歌集には本人が写った写真が入っている。後半、歌の中にあなたが登場するようになり印象の異なる歌が出てくる。あなたにも病があり、消えてしまう存在のように感じてならない。この歌集を読んだ夜は、何だかひどく疲れて眠りこんでしまった。印象に残った歌をコメント欄に。2014/08/18
更紗
12
一穂ミチさんの「雪よ林檎の香のごとく」というBL小説で知りました。綺麗で痛くて哀しくて、でもとても好きな歌集です。2014/05/11
着席
2
「わたしにはなんにもなくてわたしにはこわいくらいになんにもなくて」「信じようと思いましたこの春の光を統べる君を見ていて」/柔けれど強い、なのに孤独で虚しい。著者の持つ強すぎる光と影の記憶。若い頃の春日井健みたいな、それよりも繊細で、死と絶望に近い。合間に時折挟まれる淡い春と花の記憶が、そのせいで余計に眩しい。生々しいのに美しい。誰にも教えたくないものを見た時の気持ち。恐ろしい程の求心力。しばらく、心は全く持っていかれます。こんなに心揺すぶられる歌集との出逢いは久しぶりです。2022/04/18
Kyo
2
今日読んだという訳ではなく、3週間くらい少しずつ眺めてきた。先ず表紙を見て「あぁ、これは好きだ、とても好きだろう」と思った。綺麗な痛み。手元に置きたい気持ちと、危ないから置くべきではない気持ちがぐるぐると廻る廻る。『フラジイルなものを好めり懲りもせずガラスにシフォン小鳥にこころ』なんて苦笑するしかない。私たちには『傷ついたからだ互いにこわさないようにそっと声で触れあう』で、『信じようと思いました この春の光統べる君を見ていて』な戦友を得て『うつくしいこころのからだ抱きとめるわたしはきっと夏草になる』であり2010/07/17
桜井晴也
1
「痛かったあの日にきみと見た空の喪失点を覚えています」2009/10/15