感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
zatugei
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井伏鱒二の代表作である「黒い雨」には、ネタ本というか原本というかが存在した。重松静馬氏の「日記」がそれ。原爆に興味のある人のあいだでは有名な事実であったようだ。本書は、その原本を収録していると思い、読み始めたが、遺族の承諾が得られず、概要しか出ていなかった。ザンネン。著者はさかんに重松を持ち上げ、井伏本を過大評価と述べる。しかし「遠野物語」における柳田國男と佐々木喜善の関係と同じで、どのように発表されるかのは、重要な、しかし微妙な問題だと思う。それにしても「重松日記」の原本は本当に読みたい。2020/02/21