内容説明
「よく死ぬことはよく生きること」。学生が企画した金沢大学の総合科目「生と死を見つめて―死生学入門」。今も宗教学や社会学、文化人類学、文化史学、法学、医学、看護の現場など多角的な学問から、死と生の意味を考え続ける。
目次
第1章 死生観と宗教(死生観と魂のゆくえ;仏教の死生観;地獄絵に見る死とグロテスクのイメージ;日本人は「死」にどう対処してきたのか;現代における死のイメージ)
第2章 死生観と医療(緩和ケア病棟における生と死;死にゆく人の看取り;ALS患者の看取りと遺族ケア)
第3章 死生観と社会(文化人類学から見た生と死;ライフ・サイクルと統計数値;社会学から見た生と死;人権保障と医療と法;個性的に生きる)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
regacian
1
宗教(文化)・医療・社会学の観点から死生学を14名の著者が論じた講義録。大学の入門講義の位置ということもあり、一般的すぎず専門的すぎもせず、日本の生老病死に関する議論を追うことが出来る書籍。市民病院長が緩和ケア病棟について書いた2章1節が、実際の医療現場での実践がよく分かり特に面白かった。専門的になりがちな1章の宗教と死生学は、日本の慣習に関連する部分を中心に話が展開するので終始興味深く読める。3章も2010年臓器移植法改正を踏まえた話になっており、統計データにしっかり根付いているので大変面白かった。2022/10/22