目次
第1章 帝国:抑圧と矛盾(ロシア帝国の地域編成;欧露辺境としてのヴォルガ中流・ウラル地域;中央アジアの植民地―セミレーチエ ほか)
第2章 革命:抵抗と解放(革命における中央と辺境;一九一六年のムスリム蜂起;中央アジアにおける革命の展開 ほか)
第3章 ソヴェト同盟:統合と批判(ソヴェト権力と国家編成;ヴォルガ中流・ウラル地域の再編;中央アジアにおける土地改革と民族編成 ほか)
著者等紹介
西山克典[ニシヤマカツノリ]
1951年、北海道上川地方志比内(アイヌ語で鮭のたくさんとれる沢の意味)生まれ。北海道大学文学研究科博士課程を単位取得後退学。現在、静岡県立大学国際関係学部助教授。専攻ロシア近・現代史
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感想・レビュー
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Chaturdashi Yura
2
東方の異族人地域では帝政ロシアの植民地政策によって入植ロシア人と現住異族人との間に多くの軋轢が生じていた。それは革命で帝政が打倒されても解消されず、内戦を経てさらに鋭化し激しい政治的対立となっていった。ロシア覇権主義と地方民族主義のせめぎ合いの中で東方での革命は進展していくが、結局スルタン=ガリエフ事件に象徴される地方の民族活動家の弾圧を経て、辺境の中央への従属的統合へと傾いていく。20年代の中央アジアには、社会主義と植民地の解放という二者の間にあった複雑な関係が見えてきて興味深い。2017/06/12