出版社内容情報
開明的仏僧として、明治維新期の神道的政治指導理念と果敢に対決した島地黙雷。彼のヨーロッパ留学に焦点を当て、その異文化理解と独自の教育思想があることを明らかにし、従来の歴史的・宗教的研究で描かれた黙雷像から彼を解放する新たな研究の地平を開く一冊。
内容説明
本書は、明治維新の黎明期に護法の意欲をもってヨーロッパ留学を経験した島地黙雷の開明性に注目し、彼の護法活動がいかなる教育思想を展開したかを、当時の仏学派の護法活動との対比に於て解明するものである。
目次
第1章 明治維新期における仏学派の護法教育論―日本近代教育史で忘れられた教育論(幕末の護法教育論;明治初期の廃仏的な国民教育と国民教化 ほか)
第2章 島地黙雷の異文化理解と国際理解教育(現代の教育課題と島地黙雷の教育論研究の視点;明治初年の仏教教団の海外派遣と留学生 ほか)
第3章 島地黙雷における異文化としてのキリスト教理解(明治元年から明治十年代までの社会状況と島地黙雷;島地黙雷のキリスト教理解)
第4章 反仏教的『京都府建言書』と島地黙雷の批判精神(京都府の建言書;京都府の歴史的状況 ほか)
第5章 島地黙雷における真俗二諦観の意味と護法教育論(島地黙雷の知識論;知識論の根拠としての真俗二諦論 ほか)
著者等紹介
川村覚昭[カワムラカクショウ]
1948年京都に生まれる。1972年京都大学教育学部(教育人間学講座)卒業。1977年京都大学大学院教育学研究科博士課程単位修得退学。1985年‐86年スイス・チューリッヒ大学教育学研究所客員研究員。京都産業大学文化学部教授、教育学博士。専攻は教育人間学・教育哲学・教育思想史・臨床教育学
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