出版社内容情報
絶筆となった満之の代表作「わが信念」をはじめ、道徳と宗教の違い、安心立命の境地など最晩年の宗教的境地を綴った文章を集約。安易な信仰や癒しを求め、翻弄される現代人へ一石を投ずる書。待望の現代語訳シリーズ第四弾。原文・解説付。
内容説明
ひたむきな求道を経て満之が辿り着いた信の極地。絶筆となった代表作「わが信念」をはじめ、その揺るぎない信仰の世界を披瀝した最晩年の文章を収録。安易な癒しを求め、翻弄される現代人に一石を投ずる。待望の現代語訳シリーズ第４弾。付「原文」「解説」。
目次
現代語訳
原文
著者等紹介
清沢満之［キヨザワマンシ］
１８６３年生まれ。明治時代の仏教哲学者・思想家、真宗大谷派の僧。尾張藩士の子として生まれたが、のち西方寺に入寺、清沢姓となる。東京大学大学院にて宗教哲学を専攻。１８９６年東本願寺で教学刷新と宗門改革を主唱したが、一時宗門より除名処分された。１８９９年真宗大学の初代学監に就任、宗門における人材の養成にあたった。一方、東京に私塾浩々洞を設立し、暁烏敏らと雑誌『精神界』を創刊、精神主義運動を提唱して革新的な信仰運動を展開した。１９０２年自坊に帰ったが、孤独のうちにも、より高次の信仰を形成し、西田幾多郎などもその影響を受けた。１９０３年没
藤田正勝［フジタマサカツ］
１９４９年生まれ。京都大学大学院文学研究科、ドイツ・ボーフム大学ドクターコース修了。哲学専攻。京都大学大学院文学研究科教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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masanari
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誰もが救われるなら今から散々悪いことをして生きてもいいのか、という浄土宗派に何遍も言われ続けてき主張を、清沢はエゴイズムの観点から反論する。私が殺す、私が盗むという考えには徹底してエゴが存在する。この地点から降りなければ真宗の見地はわからない。人間とは本来無我な存在であり、やがて皆無我になる。人間の苦しみとはこの無の上に小さな私をつくることから生まれる。自分の能力の限界を悟り赤子を見守る母親のような仏の前に帰依する、これが真宗の目指す境地なのだろう。2019/10/22
