内容説明
寺内町については、早く歴史地理学の立場から研究がなされ、太平洋戦争後は地域経済の中心都市として問題にされてきたが、近年は、宗教史はもちろん経済史・社会史・地域史・都市史・建築史などの各分野から注目されている。さらに最近では発掘調査にともなう考古学の成果もあって、まさに学際的な関心が寄せられている。本書は、このような研究動向をふまえ、現時点における寺内町研究の達成を全三巻にまとめ、今後の研究の進展に寄与しようとしたものである。第三巻「地域の中の寺内町」は地域社会の中での寺内町の機能やその景観を論じた。
目次
1 摂津・河内・和泉の寺内町(枚方寺内町の構成と機能;歴史地理学からみた寺内町の性格―八尾の三つの寺内町を比較して;富田林寺内町の成立と展開 ほか)
2 大和・畿外の寺内町(寺内町今井について;中世「町場」の形成と展開―近江国堅田を事例として;金森寺内町について―関係史料の再検討)
3 寺内町史料論(戦国・中近世移行期における大坂本願寺の呼称―「石山」表現をめぐって;寺内町「由緒書」の成立と展開―冨田林寺内町を事例として;貝塚寺内の成立過程について―「貝塚寺内基立書」の史料批判を通じて)