目次
似て非なる他者―近代仏教史における神智学
1 神智学の歴史(チベット行きのゆっくりした船―アメリカ秘教運動における「東洋」像;近代日本における神智学思想の歴史;明治期日本の知識人と神智学)
2 仏教との交錯(仏教ネットワークの時代―明治二〇年代の伝道と交流;オルコット去りし後―世紀の変わり目における神智学と“新仏教徒”;平井金三、その生涯)
3 霊性思想と近代日本(仏教雑誌のスウェーデンボルグ;大拙とスウェーデンボルグ―その歴史的背景;らいてうの「天才」)
神智学と仏教、マクガヴァンとその周辺
著者等紹介
吉永進一[ヨシナガシンイチ]
1957年生まれ。京都大学理学部生物学科卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は近代宗教史・秘教思想史。舞鶴工業高等専門学校人文科学部門教授を退任後、龍谷大学世界仏教文化研究センター客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐倉
5
明治以降の仏教と神智学…もっと言えば(西洋からみた)東洋オカルティズムとの関係を論じた一冊。明治維新以降の日本仏教界はオリエンタリズム的な視線を逆に利用することで旧弊として排斥されつつあった仏教の立ち位置を定めようとした。その一環として神智学協会と接触を図るようになる。オルコット大佐の来日に始まり、シカゴ宗教会議への参加などで科学的で合理的、世界に認められる仏教を作ろうとした。しかしこの方向性は神智学との対立へと至る。オカルトとスピリチュアルと科学、国家主義の混ざりあった祝祭が日本にもあったのは興味深い。2022/07/15