内容説明
戦後、近代仏教史と社会事業史、仏教社会福祉史の分野を確立させた吉田久一。福祉と宗教、そして平和をめぐる探求のすえに見出されたその学問の今日的な意義はどこにあるのか?また、いかに批判し、いかに継承すべきなのか?各分野を代表する研究者らが、自身の学問の起源ともいえる吉田史学と真っ向から向き合い、それぞれの立場・関心から読み直す。今後の研究に不可欠な新たな視座を、分野横断的に提供する意欲的な研究論集。
目次
1 「吉田久一」とは誰か?(吉田久一の生涯と仕事;吉田久一の社会事業史研究;吉田久一の近代仏教史研究;吉田久一と沖縄―吉田久一と沖縄留学生をめぐるミクロストリア)
2 吉田史学を捉え直す(戦後日本史学と吉田久一;社会福祉の歴史研究と時期区分―吉田久一の「社会事業史研究」をめぐって;吉田史学における近代仏教史の時期区分)
3 吉田社会福祉論を再考する(吉田久一が提起した社会福祉理論の課題―問題と人間の「乖離」と、歴史への「歯止め」について;一九五〇年代の吉田久一における「近代」と「国民」―アジア情勢とナショナリズムを背景として;吉田久一と池田敬正)
4 福祉と宗教の交わりを探求する(吉田久一の「仏教福祉」の歴史研究について―「否定の論理」の視点から;遊行僧の系譜と福祉実践―吉田久一の所論が提起した意義;吉田久一と仏教福祉思想――原始仏教・鎌倉仏教への関心をめぐって)
5 吉田史学を超えて(清沢満之と吉田久一;吉田久一史学の構造と方法―主体と対象史の関係論をめぐって;監獄教誨からみる吉田久一と「近代主義」)
著者等紹介
大谷栄一[オオタニエイイチ]
1968年生まれ。専攻は宗教社会学・近代仏教。佛教大学社会学部教授
大友昌子[オオトモマサコ]
1947年生まれ。専攻は社会福祉。中京大学名誉教授
永岡正己[ナガオカマサミ]
1950年生まれ。専攻は社会福祉学。日本福祉大学名誉教授
長谷川匡俊[ハセガワマサトシ]
1943年生まれ。専攻は日本仏教史・日本社会福祉史・仏教福祉。淑徳大学名誉教授・大乗淑徳学園理事長
林淳[ハヤシマコト]
1953年生まれ。専攻は宗教学・日本宗教史。愛知学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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