出版社内容情報
戦時下の政府と仏教界の協働関係を読み解く
内容説明
“大東亜共栄圏”の建設、そこに仏教界はいかに関与したのか―戦時下における南方進攻を主題に、戦争を進めた政府・軍部と仏教界の協働関係の実態を、当時の資料から解明し、戦時下における日本仏教の位置づけを問い直す!
目次
序論
第1部 戦時体制と仏教界・仏教学界(財団法人大日本仏教会の組織と活動;国際仏教協会の調査研究とその変容;財団法人仏教圏協会の工作要員養成)
第2部 南方進攻と仏教学者の関与(興亜仏教協会のインドシナ調査;ビルマ進攻作戦と仏教宣撫工作;マラヤの占領と宗教調査;仏教留学生のインドシナ派遣)
第3部 日本仏教の対南文化進出(真如親王奉讃会とシンガポール;ジャワの仏教遺跡ボロブドゥール;バンコクの日泰文化会館と仏教界の支援)
結論
著者等紹介
大澤広嗣[オオサワコウジ]
1976(昭和51)年生まれ。現在、文化庁文化部宗務課専門職、東洋大学文学部非常勤講師。駒澤大学仏教学部禅学科卒業。同大学院人文科学研究科仏教学専攻修士課程修了。大正大学大学院文学研究科宗教学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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晴天
2
東南アジアの多くの地域との共通点である仏教を用いて企図された宣撫活動に着目したのがめずらしい。仏僧や仏教学者まで動員して占領統治に役立てようとしたのはまさに総力戦である。そして一応は学術交流活動のため派遣された仏教学者が、志半ばで研究成果をも失い帰国し、あるいは、銃をとって玉砕した様は厳しいものがあった。こうした足跡について遺された史料を掘り起こしてまとめた意義は深いと思った。そして教育を受ける唯一の選択肢として日本の設置した学校に通った土地の人々の行く末を含めて、現地での受容についての研究を期待したい。2022/07/27