出版社内容情報
明治?昭和を生きた真宗光明団の創始者、住岡夜晃。真宗光明団創立から死去するまでの31年間の珠玉の文章を収録した決定版。このたび、真宗光明団創立百周年記念事業の一環として、『新住岡夜晃選集』(全五巻)を刊行いたします。
住岡夜晃(すみおか やこう・一八九五?一九四九)は、明治から第二次世界大戦直後まで活動した宗教者です。住岡は今日、他の著名な宗教者と比べると世間にその名が知られてはおりません。彼は研究者ではなく、僧籍ももたず、広島の地で黙々と求道し、勉学し、悩む人の友となり、苦しむ人の傍らにありました。
住岡夜晃が創立した真宗光明団は、親鸞聖人が説かれた浄土真実の教えを聞いて歩む道場です。真宗光明団は、一九六一年(昭和三六)から一九六六年にわたり、住岡夜晃十三回忌を期して『住岡夜晃全集』(全二〇巻)を刊行いたしました。今回は、この全集の中から珠玉の文章を選んで新たに編纂いたします。
構成は、住岡夜晃が真宗光明団を創立して以来、亡くなるまでの三一年間を五期に分け、ほぼ年代順に選び編集しています。かつての全集も、さらにその一〇年後に刊行された『住岡夜晃選集』(山喜房佛書林)も今では絶版となっております。そのため、今回、真宗光明団創立百周年を期して新たに選集を編集し刊行する次第です。
真に人の救われる道を求め、多くの人々と歩む中から生み出された文章は、親鸞聖人が求め明らかにされた世界に深く真摯に尋ね入るものであり、大正から昭和にかけてのものでありながら、現代でも輝きを失うことはありません。生きる基盤を見失いがちな現代において、住岡夜晃が求め歩んだ世界に本選集を通して触れていただければ、まことに幸甚に存じます。是非とも多くの方々に読んで頂きたいと願っております。
第1巻『僧伽の誕生』
序章 おいたち
第1章 親しい若い皆様よ
第2章 生きんとする努力
第3章 清く生きようとする願い
第4章 人間性に立脚して
第5章 使命
第一巻は、一九一八年(大正七)?一九二三年(大正一二)、二四?二九歳の著作を収録。この五年間は小学校に勤務しながら光明団を立ち上げ、やがて法難にあい、辞職して、弘法のために故郷を出ていった激動の時代です。
第2巻『不退の歩み』
第1章 いかに生きるか
第2章 道を求める者の態度
第3章 親鸞聖人を偲ぶ
第4章 化城を出でて
第5章 回向のみ名
第6章 疑謗を縁として
第7章 試練の中で
第二巻は、一九二四年(大正一三)?一九三〇年(昭和五)、三〇?三六歳の著作を収録。この時期、僧籍がない者が仏法を語ることへの非難・中傷、長女や父の死など悲しい出来事が続きます。個人的苦悩を昇華して、真実に救われていく仏道を身をもって明らかにした文章が胸を打ちます。
第3巻『真実』
第1章 苦しむ一切の人々へ
第2章 我が慈父親鸞聖人
第3章 大乗仏教のこころ
第4章 浄土真実の宗教
第5章 念仏者の生活
第6章 住岡夜晃先生の歩み
第三巻は、一九三一年(昭和六)?一九三五年(昭和一〇)、三七?四一歳の著作を収録。一九三三年に光明団は一五周年を迎え、新本部を建設、「学仏道場」として本格的な学びへと力強く歩み出します。「如来本願の宗教」を尋ねる思索の日々の文章を収めます。
第4巻『一筋の道』
第1章 一筋の道
第2章 正法に忠実なれ
第3章 回向のみ名
第4章 信をとらぬによりて悪きぞ
第5章 如来本願の真意
第6章 御同朋と共に
第四巻は、一九三六年(昭和一一)?一九四四年(昭和一九)、四二?五〇歳の著作を収録。「汝は大法のために死ね」との心の声を聞いて、誤解や非難の中を歩んだ時期でもありました。生涯後半の充実の時期であり、聖教を深く丁寧にいただく獅子吼の歩みが続けられます。
第5巻『仏法ひろまれ』
第1章 世の中安穏なれ
第2章 愚者のめざめ
第3章 念仏者は無碍の一道なり
第4章 仏心とは大慈悲これなり
第5章 仏法ひろまれ
終章 永遠の旅人
第五巻は、一九四五年(昭和二〇)?一九四九年(昭和二四)、五一歳?亡くなる迄の著作を収録。一九四〇年に廃刊となった『光明』誌を一九四八年に再刊。真に日本を救うのは正法だけである、念仏だけであるという決意が同朋へ次々と届けられました。
住岡夜晃[スミオカ ヤコウ]
著・文・その他
目次
第1巻 僧伽の誕生―大正7年‐大正12年
第2巻 不退の歩み―大正13年‐昭和5年
第3巻 真実―昭和6年‐昭和10年
第4巻 一筋の道―昭和11年‐昭和19年
第5巻 仏法ひろまれ―昭和20年‐昭和24年