出版社内容情報
王朝内部の権力争い、異民族との抗争によって混迷を深めた六朝時代。門閥貴族によって政治が支配されるなか、微賤な武人に生まれた劉裕は、その卓越した行動力と徹底した現実主義によって最後には皇帝となった。だが、即位後その生彩に翳りが――。
後代に継承された武人と貴族との合体融合の形式をもつ南朝の権力機構の本質を明らかにする好著。
【目次】
はしがき
一 計画
二 決起
三 京口
四 北と南
五 妄執
六 新政
七 テロル
八 洛陽
九 長安
十 即位
十一 死
十二 沈約独語
あとがき
劉裕関係年表
「中公文庫」のためのあとがき
「法蔵館文庫」のためのあとがき
内容説明
王朝内部の権力争い、異民族との抗争によって混迷を深めた六朝時代。門閥貴族によって政治が支配されるなか、微賎な武人に生まれた劉裕は、その卓越した行動力と徹底した現実主義によって最後には皇帝となった。だが、即位後その生彩に翳りが―。後代に継承された武人と貴族との合体融合の形式をもつ南朝の権力機構の本質を明らかにする好著。
目次
計画
決起
京口
北と南
妄執
新政
テロル
洛陽
長安
即位
死
沈約独語
著者等紹介
吉川忠夫[ヨシカワタダオ]
1937年、京都市生まれ。京都大学文学部史学科卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。東海大学文学部専任講師、京都大学教養部助教授を経て、京都大学人文科学研究所助教授、同教授。2000年、停年退官、京都大学名誉教授。日本学士院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
15
武力が主役となった時代を切り開いた旗手として、南朝宋の開祖劉裕を描き出す。彼がいかに貴族と対峙したかとともに、その限界も描いている。当時の武人と貴族の関係を日本の武士と公家との関係になぞらえているのが特徴か。最後に『宋書』の編者沈約の独白という形で劉裕の評価と彼の死後の状況を描くという趣向も面白い。2022/05/18
MUNEKAZ
12
初出は60年以上前の一冊で、古き良き歴史物語といった趣き。さりとて眠たい内容では無く、江南の貴族社会の実相とその中で成り上がった劉裕の特異さをしっかり描いている。終章が南朝『宋書』の作者たる沈約の独白という形式にしているのも、なかなかお洒落。流行りのパッキパキの実証史学に拠った本に疲れたときは、「こういうのでいいんだよ」と言いたくなる。2025/07/01
アメヲトコ
10
1966年中国人物叢書刊、89年中公文庫で復刊、2022年法藏館文庫で再刊。微賤から身を起こし、武力で名を挙げ、ついには東晋から皇位を簒奪して宋朝(南北朝時代)を起こした劉裕の一生を、『宋書』などの史書にもとづき活き活きと描いた一冊です。南朝というと貴族のイメージが強いですが、その初代はこんな武闘派だったのね。著者がこの書を刊行したのは何と29歳のときで、若書きなどと謙遜されながらこんな名文を書かれては後進としては立つ瀬がありません。2026/08/13
さとまる
10
『候景の乱始末記』もそうだったけど、吉川先生の著作はストーリー仕立てになっていることもあり読みやすく、するっと頭に入ってくる。それでいて史料に基づいた記述なので、突飛な部分も無い。こういう文章が書けるのは稀有な才能だと思う。劉裕についてはほぼ知識が無く、宋についても倭の五王が貢納したくらいしか知らなかったが、この時代に興味を抱いて参考書籍を読みたくなった。2025/02/17
筑紫の國造
6
貧しい身分から将軍、ついには皇帝にまで成り上がった劉裕の伝記。日本ではあまり馴染みがないが、漢の高祖劉邦に並ぶ立身出世の人。著者は歴とした学者だが、文章は非常に読みやすい。むしろやや噛み砕きすぎている感さえあり、もう少し史料の引用があってもいいと思ったぐらいだ。こういう人物伝記を読むと、改めて中国史の長さ、広さに驚かされる。劉裕はまさしく軍人らしさの漲る皇帝で、彼の良さも悪さもみんなそこに詰まっているように見える。このような人物を描けるのは著者の力量ゆえだろう。2026/08/25




