内容説明
「民衆思想史」研究によって学界に大きな足跡を残した安丸良夫は、それまでの歴史学界や当時の日本社会といかに対峙し、そこからいかなる思想史を構想しようとしていたのか。自身の研究や経験を回顧・省察した方法論的論考を中心に収め、その思想的格闘の軌跡を示す。歴史学の有用性が問われつつある現代に、あらためて読まれるべき名著が、待望の文庫化!
目次
第1部 方法への模索(日本マルクス主義と歴史学;方法規定としての思想史;『明治精神史』の構想力;「民衆思想史」の立場;思想史研究の立場―方法的検討をかねて;前近代の民衆像;民衆史の課題について―井上幸治『近代史像の模索』・林英夫『絶望的近代の民衆像』を読む;史料に問われて;文化の職場としての民俗)
第2部 状況への発言(日本史研究にもっと論争を!;歴史研究と現代日本との対話―「働きすぎ」社会を手がかりに;日本の近代化についての帝国主義的歴史観;反動イデオロギーの現段階―歴史観を中心に;近世界想史研究と教科書裁判―原告側補佐人として出廷して)
著者等紹介
安丸良夫[ヤスマルヨシオ]
1934年富山県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。名城大学法商学部助教授を経て、一橋大学教授、早稲田大学大学院客員教授を歴任。2016年歿。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。