内容説明
一九七〇年代以降に急成長し、ときに一部が一般社会との軋轢や葛藤を生むこともあった「新新宗教」。その実態とは一体どのようなものなのか。反世俗主義・ナショナリズム・新霊性運動・教団の内閉化など、多元的な参照軸から「新新宗教」の特徴を読み解き、近代=モダンとは異質なものを追求・志向したその信仰世界の様相を浮き彫りにする。「新新宗教」を日本そして世界の宗教状況とリンクさせ、現代宗教論にひとつの展望を与えた画期的試み。
目次
新新宗教とポストモダン
第1部 宗教運動の変容(「旧」新宗教と新新宗教;新新宗教の信仰世界;輪廻転生と終末観)
第2部 ナショナリズムの興隆(反世俗主義とナショナリズム;新新宗教のナショナリズム;日本人論と宗教)
第3部 モダンへの対抗(宗教復興の中の新新宗教;一九七〇年から九〇年へ;近代的価値に抗して)
現代宗教と悪
著者等紹介
島薗進[シマゾノススム]
1948年東京生まれ。東京大学大学院人文科学系研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学名誉教授、上智大学大学院実践宗教学研究科教授、同大学グリーフケア研究所所長。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rune
4
原著は2001年刊行と若干古いが、「新新宗教」の見取り図を得るには最適の一冊。新新宗教の隆盛は70年代以降とされるが、これは大澤真幸のいう「理想の時代」から「虚構の時代」への移行という図式にあてはめることができるだろう。旧新宗教:「理想の時代」における貧病争という現実(つまり理想からの疎外)からの救済。新新宗教:既存の価値が相対化され、シニシズムが蔓延する「虚構の時代」における空しい現実からの離脱。2022/08/20
愛楊
3
『ポストモダンの新宗教』の「ポストモダン」という語は、ポストモダン思想から現代宗教を読み解くといった趣旨ではなく、単にポストモダン(後期近代)時代の様相と現代宗教を照応させる意味において用いられている。 まず、宗教の区分について述べられる。江戸時代から現代までに興隆した宗教を「新宗教」と呼ぶ。さらに、新宗教の中でも、GLAなど、現世救済を目的とし近代的価値と教義上の価値を軌を一にするものを「旧新宗教」、オウム真理教や統一教会など、来世救済を目的とし、個人主義的価値を重視するものを「新新宗教」と類別する。2023/04/26
Go Extreme
1
宗教運動の変容: 旧新宗教と新新宗教 新新宗教と共同体 新新宗教の信仰世界: 貧病争という動機から空しさの動機へ 現世志向から現世離脱へ 心なおしの脱倫理化と心理統御技法増加 神秘現象と心身変容への関心増大 自己責任の強調、自己の霊魂の永続の意識 聖なる宇宙の再構成 輪廻転生と終末観: 輪廻転生と来世観 終末観の深刻さ ナショナリズムの興隆: 新新宗教のナショナリズム 日本人論と宗教 モダンへの対抗: 宗教復興の中の新新宗教 1970年から90年へ 近代的価値に抗して 新新宗教と反近代の変容 現代宗教と悪2021/07/24