内容説明
森羅万象のなかにカミを経験する。その経験の場とはいかなる時空なのか。アニミズム、そしてシンクロニシティ(同時性)空間論によって自然との共存共生の方法を説く、岩田アニミズム論。その到達点を示す名著。巻末に対談「いま、なぜアニミズムなのか」を付して文庫化。
目次
1 アニミズムとは何か(カミの出現―アニミズムの見取り図;宗教の海―宗教の発端としての「大洋感情」;魂のトポロジー―魂の交流する空間)
2 カミのいる時空(穴のあいた空間―神、カミ、そしてカミ以前へ;自分マンダラが動く―自然のなかへ融けこむ;シンクロニシティの空間―因果性と同時性;草木虫魚教のゆくえ―アニミズムという画面)
3 画面のなかの自分(大地の色―大地という空間;生死の風景―風景画のなかの自分;私の山河―無限を含む風景;宇宙と交感する―身体という自然;風景のなかへ―アニミズムの風景学)
4 宇宙の森(森の思想・森の生き方―南の森から学ぶ;宗教の森―宇宙にむかうエコロジー)
付記 いま、なぜアニミズムなのか
著者等紹介
岩田慶治[イワタケイジ]
1922年、横浜市生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学大学院特別研究生、大阪市立大学教授、東京工業大学教授、国立民族学博物館教授、大谷大学教授を経て、東京工業大学名誉教授・国立民族学博物館名誉教授。2013年2月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
20
もっと大雑把に考えていたアニミズムだが専門的すぎるか。著者の考えでは単に精霊信仰ではなく魂とは何かを追求するネオ・アニミズムだという。民俗学や日本の神道の本質を追求する学問的ものになるのだった。どうもとっつきにくいと思ったら、そういうことだ。宗教の枠を取っ払いたいのにその宗教の核心へと迫っていく論理と言えばいいのか。難しと思った。『万葉集』と『古今集』の違いとか同じ歌だから個人個人に違いはあるだろうけど、そういうところが駄目だった。机上の歌とか決めつける。実地主義というかフィールドワークの本だった。2025/03/17
∃.狂茶党
10
本書は隅々まで作者の「我」が漲っており、ちょっと文章が暑苦しい。 とはいえ、宗教的な/因果律とは別の、考えが染み込んでくるように伝わるのは、すごいのかもしれない。 「相貌的思考」解説に出てくるこの単語が本書の理解を助ける、作者の繰り返す曼荼羅そのほかを言い換えたものだ。 そしてチラッと出てくるエクスタシー。 これはバタイユの言葉と非常に近いのではないか? 2022/09/15
arisa
2
自分の身体を、細胞を見つめていたら極小の粒子がいつしか宇宙の模様になっていた。血潮が流れるザアザアという音は惑星が廻る音で、巨木が地中から養分を吸う音でもある。私の手のひらのシワひとつの中に、宇宙が折りたたまれている。どこでもないそこは、ここなんだ。2022/11/28
わ!
2
面白い本だ!とにかくこの著者の考え方が独特で面白い。この様にまとめられると、ついついスピリチュアルな方向へ、話が向いてしまいそうだが、この著者は決してスピリチュアルな方向は目指していないよに思えるところが良い。むしろ極めて原始的な、生命の本質のようなところへ立ち帰っていくような書き方だ。(それでもスピリチュアルっぽく進まない論理がカッコいい。)これを読んで思ったのだが、仏教の、特に禅などによる「無」の境地というものと、アニミズムという思想は、ほとんど同じなのかもしれないと思えてくる。2021/02/03
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