内容説明
ウィトゲンシュタインは「哲学者」か、それとも「宗教者」か?ひとつの孤独な魂が、強靱な理性と「神との和解」のはざまで悩みぬいた、感動のドラマ。旧著から30年にわたる著者の研究の深化をへて、新たに発掘された『秘密の日記』『哲学宗教日記』と、「兵士」としての激闘体験とをめぐる考察を縦横にもりこんだ、宗教学からの独創的アプローチ!
目次
第1章 ウィトゲンシュタインの生涯
第2章 第一次世界大戦とトルストイとの出会い
第3章 「語りえないもの」としての宗教
第4章 『秘密の日記』にみる『論理哲学論考』の基本的性格の成立
第5章 『哲学宗教日記』にみる「宗教者」ウィトゲンシュタイン
第6章 ユダヤ人意識と同性愛をめぐって
第7章 ウィトゲンシュタインの宗教観
終章 自分が「神に対して」語ることと「神について」他人に語ること
著者等紹介
星川啓慈[ホシカワケイジ]
1956年、愛媛県生まれ。1984年、筑波大学大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得退学。その後、英国スターリング大学客員研究員。現在、大正大学文学部教授、同大学大学院比較文化専攻長。博士(文学)。専門は、宗教学・宗教哲学。1990年、「日本宗教学会賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mittsko
8
力のこもった、信頼に足る評伝 大変読みやすいので、哲学・思想畑以外にも、色んな方にオススメです…!(*´ω`*) 主題化こそされないが、本書で明らかになるのは、LWが、カントにより敷かれた近代西洋思想パラダイムを極点まで突き詰めた哲学者であったこと 当然、それは否定神学になる LWの特色としては、尋常ならざる理性と「同性愛(疑惑?)」がその二項対立図式の焦点を形づくったこと、でありましょうか 哲学者の業ですね ※ 2020年刊、底本は同題で1990年刊。「あとがき」によれば、かなり大幅な増補であった由2025/03/27
双海(ふたみ)
7
予想よりも読みやすく助かった。新たに発掘された『秘密の日記』『哲学宗教日記』と、第一次大戦時の「兵士」としての激闘体験とをめぐる考察を縦横にもりこんだ、宗教学からの独創的アプローチ。まだまだ学び続けなければならない。2025/04/08
双海(ふたみ)
3
再読。『論理哲学論考』命題6以降を読む際に格好の補助線となる。2025/07/05
Go Extreme
3
ウィトゲンシュタインの生涯: カトリック様式による埋葬 音楽と自殺 数学から哲学へ 第一次世界大戦とトルストイとの出会い: 戦場のウィトゲンシュタイン 福音書の男 「語りえないもの」としての宗教: 『論理哲学論考』と「語りえないもの」 論理実証主義とウィトゲンシュタイン 『秘密の日記』にみる『論理哲学論考』の基本的性格の成立 『哲学宗教日記』にみる「宗教者」ウィトゲンシュタイン ユダヤ人意識と同性愛をめぐって ウィトゲンシュタインの宗教観 自分が「神に対して」語ることと「神について」他人に語ること2022/01/26
犬猫うさぎ
2
「ウィトゲンシュタインは、聖人や修道僧にしばしば見られるような性向の持ち主だった。すなわち、意味や目的を強く渇望し、それを見つけられないと、底知れぬ自己嫌悪に陥るのだった。」そして、「挫折感、奈落に落ちる寸前のところで生きているという意識から、ウィトゲンシュタインは確実性を渇望し、『論考』の哲学体系をうみだすことになった」。(192頁) 地球全体の苦しみは、ひとりの人間の魂の苦しみより、大きくはならない。(207頁 『反哲学的断章』より引用)2023/12/31
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