内容説明
神は解放の源泉か抑圧の源泉か。アフリカの記憶、「見えざる教会」、「見える教会」、公民権運動、黒人教会のその後と現在、「出エジプト物語」、歌・祈り・説教、ソウルフード、ヒップホップ、キングとオバマ…根源的問いをめぐる“絶えざる緊張関係”を読み解く。
目次
宗教の二つの側面―抑圧的機能と解放の役割
第1部 黒人キリスト教信仰の歴史的展開(アフリカの文化的遺産;奴隷制時代―「見えざる教会」;南北戦争後から二〇世紀前半まで―「見える教会」へ;公民権運動と黒人教会―待つ姿勢から行動主義へ;二極化の現実と黒人教会)
第2部 黒人共同体のスピリチュアリティ―その諸相(アメリカ黒人と「出エジプト物語」;黒人教会の霊的活力;ソウル・フード;ヒップホップ;預言者と治癒者―キングとオバマ再考)
著者等紹介
黒崎真[クロサキマコト]
1971年生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。博士(文学)。神田外語大学外国語学部英米語学科准教授。専攻は歴史学(米国史、米国黒人史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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paumi
3
アメリカ黒人についての知識を本書で一通り学べた。黒人たちの現実と神・教会の救いに対する整合性は一筋縄では行かない。蛇行するように思想と立場が入り交じる。神や教会に対してある時は救いを求め、ある時は疑問視する。それでも彼らは神への救いを希求する。そんな神への希望があったからこそ、黒人たちは前に進むことができたんだろう。キング牧師が問うた「三重の悪」はオバマ政権が終わった後でも解決することができるのだろうか。2017/09/15
K
0
奴隷として連れてこられた黒人の人々が、「主人の宗教」であるキリスト教とどう付き合ってきたかについての本。キング牧師やブラックパワーのような歴史的な事象だけでなく、食べ物や音楽などにも言及し包括的に捉えようとしている点やオバマ大統領がキング牧師をどう「利用」しているかについての分析が興味深い。ギャングスタ・ラップが謳う暴力性、女性蔑視、物質主義への批判に対して、「それは白人が築き上げてきたアメリカ社会の問題点そのものだ」と反論した黒人女性の声が紹介されていたが、まさにそのとおりね。2015/11/30
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