内容説明
「藩儒」は、どのように政策に関わり、いかなる役割を果たしたのか―。近世日本の儒者とは、身分制社会の枠組みに収まらない中間的知識層であった。本書では漢学に通じた医者=「儒医」ではなく、諸藩に「儒者」という役割で召し抱えられた狭義の存在を考察対象とする。とくに、18世紀の龍野藩の事例を中心として、多くの儒者が遺した豊富な史料を駆使し、藩儒の登用から藩校の設立に至るまで一藩の教学政策を検証するとともに、その社会的役割を具体的な動向に踏み込んで分析する。
目次
序章 本研究の課題と方法
第一章 諸藩における儒者登用の動向と“藩儒の家”の形成
第二章 藩儒の修学過程と公務
第三章 藩儒の社会的役割と文化的ネットワーク
第四章 龍野藩における藩校の成立・展開と藩儒の役割
終章 本研究の成果と今後の課題
著者等紹介
浅井雅[アサイミヤビ]
神戸市生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科文化相関専攻博士後期課程修了。博士(学術)。神戸大学大学院国際文化学研究推進センター協力研究員、日本学術振興会特別研究員等を経て、四日市大学総合政策学部人文社会専攻特任准教授(歴史学分野)。専攻―日本思想史・日本近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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