内容説明
「朝鮮儒教をどう捉えればいいのか」―現代の韓国においても、儒教の根幹には「愛民」思想があると認識され、「愛民」は中国や日本で発達した思想(宋学・朱子学)と朝鮮思想を差異化するキーワードである。「愛民」を基軸として、朝鮮儒教の内包(心学)と外延(ナショナリズム)を追究することで、丸山眞男の政治思想史研究以来の呪縛を解く「可能性としての朝鮮儒教」を描き出す。
目次
封印された朝鮮儒教
井上哲次郎の儒教解釈と武士道
なぜ丸山理論は朝鮮儒教に当てはまらないのか
朝鮮儒教のルーツを求めて
朝鮮儒学における「心学」の位相
李退渓の「誠」と王陽明の「誠」
鄭霞谷の「心」の解釈
「愛民」と「安民」の政治学
「天」観念の変容と韓日両国のナショナリズム
愛国啓蒙運動と張志淵
儒教は「東アジア共同体」の紐帯となりうるか
「愛民」と君主論
著者等紹介
井上厚史[イノウエアツシ]
1958年、広島県生まれ。同志社大学文学部卒業。大阪大学大学院文学研究科日本学専攻博士後期課程満期退学。蔚山大学校人文大学日語日文科専任講師を経て、島根県立大学総合政策学部教授。専攻は東アジア思想史・日韓関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。