内容説明
内村鑑三(1861‐1930)におけるナショナリズムの源流にある“伝統思想”を具体的に分析し、その信仰の危機と再生の体験を当時の書簡資料という“現場”から捉え直し、さらに内村が愛読した古今東西の詩歌等のテクストに遺された“書入れ”に着眼し、その内面に生じた解釈と読み替えを丹念に検証する。
目次
序章 研究史・視座・方法
第1章 若き内村鑑三の思想史的背景―藤田東湖「正気歌」受容を中心に
第2章 「内村鑑三不敬事件」再考―低頭への「ためらい」をめぐって
第3章 不敬事件後の危機と再生―「楽園の回復」をめぐって
第4章 宇宙観の形成と伝統思想―『報徳記』の“翻案”を手がかりに
第5章 信仰による「人情」の昇華―旧蔵『古今集遠鏡』に見える書入れをめぐって
第6章 “霊魂の不滅”から“万物の復興”へ―「我等は四人である」をめぐって
第7章 無教会と古義堂―旧蔵『先哲像伝』「伊藤仁斎」に見える書入れを手がかりに
第8章 贖罪信仰“再唱”の背景―旧蔵The Death of Christに見える書入れを手がかりに
第9章 キリスト再臨信仰の思想史的意義―南原繁における「再臨運動」の影響をめぐって
第10章 人間内村鑑三の片影―聞書き・陶山節子
終章 「うめく宇宙」と“二つのJ”
著者等紹介
今高義也[イマタカヨシヤ]
1966年、茨城県つくば市生まれ。東北大学文学部卒業。東北大学大学院文学研究科日本思想史学専攻博士課程前期課程修了。現在、宮城学院中学校高等学校教諭。専攻は日本プロテスタント思想史・文学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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