内容説明
近世前期において人間を外部から束縛する権威を自己の心へ内在化し、主体性の獲得をめざした民衆の思惟を“自律”と捉え、仏教の唯心弥陀・煩悩即菩提説を基軸に、『心学五倫書』などの教訓書や鈴木正三・浅井了意らの仮名草子を読み解き、近松の心中浄瑠璃に至る思想史を構築する。
目次
第1部 近世初期民衆思想史研究―『心学五倫書』と仮名草子の心の主体性思想(概論 近世民衆仏教の形成;近世初期民衆思想史の視点と課題;因果法則の矛盾と心の主体性―『心学五倫書』の悪人富貴・善人貧苦と天心一体説;仏教の人間化と煩悩即菩提―仮名草子における恋・因果・無常・煩悩・菩提;人間の仏教的再把握―鈴木正三の唯心弥陀と世法即仏法;経験的合理主義と仏教―『清水物語』と『祗園物語』の儒仏論争;日本近世における自律の特質―小括)
第2部 煩悩即菩提の思想史―浅井了意から近松へ(「牡丹灯篭」における煩悩即菩提;「牡丹灯篭」の原話と展開;恋を菩提の橋となし―『曾根崎心中』の煩悩即菩提;都市文化のなかの聖と性)
著者等紹介
大桑斉[オオクワヒトシ]
1937年、石川県生まれ。金沢大学法文学部卒業。大谷大学大学院文学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。大谷大学教授を経て、大谷大学名誉教授。専攻、日本近世宗教思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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