内容説明
「大和魂」「武士道」「日本精神」など、国学は軍国主義のイデオロギーとして、同時代の思想や新聞・雑誌などのジャーナリズム、また教育現場に大きな影響を与え続けた。宣長が時局に利用され曲解されるシステム、歪められるメカニズムを検証し解明する。
目次
序論 本居宣長の大東亜戦争
第1章 同時代思想としての国学(上)―幕末を経由して大東亜戦争期に至る
第2章 同時代思想としての国学(下)―日本精神論の流行と変容
第3章 近代宣長像の形成と変容(上)―「松坂の一夜」伝説の成立
第4章 近代宣長像の形成と変容(下)―敷島歌の解釈の変容
第5章 宣長研究と時局(上)―序文に見る時局発言をめぐって
第6章 宣長研究と時局(下)―煽情的宣長論をめぐって
第7章 学統観の変遷(上)―平田篤胤への継承性
第8章 学統観の変遷(下)―徂徠学との関連
著者等紹介
田中康二[タナカコウジ]
1965年大阪市生。1988年神戸大学文学部卒業。1994年神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学。富士フェニックス短期大学専任講師。1999年博士(文学)(神戸大学)取得。富士フェニックス短期大学助教授。2001年神戸大学文学部助教授。第27回日本古典文学会賞受賞。2007年神戸大学大学院人文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
8
図書館にて。敷島歌「敷島の大和心を人問はば朝日ににほふ山桜花」は、還暦を迎えた宣長による自画自賛の歌なのだが、この歌は元の文脈から遠く離れ、靖国神社・遊就館にて、元帥刀の展示屋を飾る四つの歌のひとつとなっている。宣長自身は1801年に没した18世紀のひとであり、19世紀後半から20世紀前半の出来事について彼を咎めるのは少々無理がある。…無理があるのだが、靖国の展示を見ると、違和感がなく、極めて自然に感じる。ここいらが宣長の思想と言葉の厄介なところなのだろう。まぁ、教師の偉さっていかほどか、ってとこか。2021/06/14
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