内容説明
近代化の要請に伴う衝撃を西洋・アジア諸国に共通の課題として捉え直し、伝統/近代・西洋/東洋といった枠組みをのり超えて、幕末明治の多様な発想と論理が切り結ぶ場に注目した新しい日本政治思想史の試み。
目次
第1部 統治エリート観における伝統と近代(「政事」と「吏事」―徳川期の統治と人材;朱子学・正学・実学―佐久間象山;エリート形成と能力主義の定義;福沢諭吉における知の「分権」)
第2部 アジア認識と伝統の再構成(「亜細亜」の「他称」性;「文明」「儒学」「ダーウィニズム」;「封建」と「自治」、そして「公共心」というイデオロギー)
著者等紹介
松田宏一郎[マツダコウイチロウ]
1961年、広島県生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。立教大学法学部助手、日本学術振興会特別研究員、岐阜大学教育学部助教授を経て、立教大学法学部教授。専攻は日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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politics
3
本書は大きく分けて二つの課題が議論されていて、それは江戸期における知的能力や統治者の素質の議論がどう明治へと継承され又はされなかったのかという課題と、「亜細亜」「文明」「封建」と言った政治的概念が江戸から明治、そしてさらに先の時代までどのように構成されていったのかを問題としている。その中で特に興味深かったのが、福沢諭吉の「知」の分権論だろう。J.Sミルら西洋政治思想と江戸期までの議論をうまく摂取して説かれる地方分権論は今尚参照に値するだろう。2022/04/24
たぬき
0
繋がっていうか
papahaba
0
日本の自画像の変遷を江戸時代から明治まで、エリート・思想家でどう変化したか、その源泉は を、外部思想である儒教思想の影響をフックに分析した本。2024/06/16