内容説明
本書ではまず隠逸とは何かという隠逸概念を明らかにし、ついでなぜ隠逸になるかという隠逸への動機を探る。ついで、隠逸の特徴である「清貧」「拙」「自由」「孤独感」等を明らかにし、そしてその典型的な生き方を、竹林の七賢に見、隠逸の世界を陶淵明の世界に見出す。一方、隠逸の一般化とともに現れた朝隠に話を進め、その堕落したものとして偽隠にふれる。さらに、隠逸と非常に近い形にあるものとして、道士・仏教僧についても述べる。終わりに中国における隠逸の歴史の概略を孔子の時代から主な類型の出揃う唐代まで、述べる。
目次
第1章 隠逸とは何か
第2章 隠逸へ
第3章 隠逸の特徴
第4章 隠逸の世界
第5章 隠逸の歴史
感想・レビュー
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伊勢田和良
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神楽岡昌俊「隠逸の思想」を読みました。 掛け軸のジャンルに山水図があります。 世捨人らしい老人が、深山幽谷でひっそりと暮らしているさまを描いています。 こういうところで自然に囲まれのんびりゆったりと暮らしてみたいもんだと、あこがれの気持ちが湧いてきます。 江戸時代の人々も、浮世の身過ぎ世過ぎで時間に追われ、バタバタしていたのでしょう。 しばし一幅の掛け軸に、安らぎを見出していたのだと思います。 ピーター・ドラッカーは、水墨画のファンで収集家として有名です。仕事の疲れを癒やすためにも眺めて楽しんでいたようで2015/06/01