内容説明
火山が噴火する様子を見た人はあまり多くないと思いますが、実際にそれを見てみると本当に素晴らしい、強烈な現象です。夜中に真っ赤な溶岩が飛び散る様子は、実に神々しいものがあり、また、昼間でも地震と爆発音を伴いながら、巨大な噴煙がものすごい勢いで上昇をし、その中で雷がバリバリ発生する様子は、この世のものとは思えない大迫力です。本書ではそんな火山の魅力に最新科学の知見を交えながら迫ってみます。
目次
第1章 マグマの生成
第2章 噴火はなぜ起きる?
第3章 火山岩の種類・でき方・性質
第4章 噴火いろいろ
第5章 噴火の予知と火山学者の役割
第6章 火山の恵み―温泉と鉱床
第7章 火山災害を防ぐ
第8章 富士山で大噴火が起きたら?
著者等紹介
萬年一剛[マンネンカズタカ]
1971年横浜市生まれ。筑波大学第一学群自然学類卒業。筑波大学大学院博士課程地球科学研究科中退。九州大学博士(理学)。1998年より神奈川県温泉地学研究所。2007年同主任研究員。2010~2011年にアメリカ合衆国南フロリダ大学客員研究員。2014~2020年日本火山学会理事。2015年に箱根火山の噴火を体験し、防災対応や噴火メカニズムの研究に従事した。専門は火山地質および降灰シミュレーション(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田氏
17
学びとは結論と適切な距離をとるための手段ではないだろうか。ここ十年くらい、そう思うことが多くなった。学ぶことによって視界の解像度が高まると、認識できるパラメータは増える。増えるほどに、それは複雑になっていき、結論というパラメータへの統合は、難しく、遠くなる。本書はとても慎重に結論を述べる。コンセンサスのあるもの、緒論あるもの、筆者がそう思っているもの、聞いたもの、それぞれを丁寧に扱いながら、飲み込みやすいかたちにして複雑さを感じさせてくれる。行政分野の話になると急に複雑味が薄れるのがすこし気になるけれど。2021/03/12
kk
13
図書館本。一般市民を対象とした火山学の概説入門書。火山の成り立ち、噴火の機序や実相、火山研究のアプローチ、さらには噴火予知の可能性や防災への取り組みの現状などを丁寧・親切に解説。これまで曖昧だったり勘違いしていた事柄がかなりクリアになったような。この本、その構成や記述の内容、語り口、そして説明の深浅の程度といった面で、稀に見るような出来の一冊。著者ご自身の知見や姿勢もさることながら、著者と編集のタッグが見事に結実しているような印象。高校生の頃に読んでいたら火山学者を志してしまっていそうです。2023/06/27
hal
13
火山学者による、とてもわかりやすい火山に関する解説書です。火山の噴火の仕方に名前をつけるのはあまり意味がないとか、噴火予知は今の所無理とか、なるほどと思う事が色々あった。もし富士山が噴火したら、とりあえず2週間家に閉じ込められても生きていける程度の備蓄は必要らしい。2020/12/13
1484h
4
これは良書。内容もきちんとしてるし、説明がわかりやすい(あと、ことろどころ垣間見える毒舌が面白い)2020/11/27
nishioda
3
筆者の人柄が現れる文章で、所々ニヤリとさせられる。全体的に読みやすいけれど、やはり専門的で難しい部分もある。2021/03/14