内容説明
再開発事業が進み、更なる賑わいをみせるJR中野駅北口界隈―この地には、旧日本陸軍の中でも極秘の存在であった日本初のスパイ養成機関“陸軍中野学校”があった。誤解と風説に包まれた精鋭組織の実像がいま明らかに!!
目次
第1章 「三三の歌」と共に(血盟十八士;学生生活;ソ満国境の卒業演習)
第2章 暗雲の中国へ(試練に耐えて;川島芳子との対決;六条公館の謎;開戦当日の重慶軍工作)
第3章 謀略の果て(Q少佐の悲劇;本土決戦目前のクーデター計画;雪の日の破局)
第4章 生きている中野学校(北白川若宮を擁立して;ビルマ首相亡命秘話;連合軍を震撼させた地下組織)
著者等紹介
日下部一郎[クサカベイチロウ]
1913年福岡県生まれ。38年陸軍自動車学校(予備士官学校)卒業後、後方勤務員養成所(後に「陸軍中野学校」と改称)入所。39年第一期生として同校卒業。その後、中国で諜報活動に従事。終戦後(陸軍少佐)は参謀本部第七課(情報担当)に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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saga
56
著者は中野学校1期生という経歴。著者と思われる一人の情報将校・久村の動向を中心に小説仕立てで書かれている。選抜試験の凄さや天皇制に対する自由な討議に関する記述はなく、他の中野学校関連書籍でのイメージと違う印象を受けた。本書の中心は久村が中野卒業生として赴任した中国大陸での特殊任務だ。中野卒業生に対する一部の陸軍上層部の無理解のために、謀略作戦が無に帰するのみならず、中国人の反日感情を激化させることになった。もし中国で反共工作が成功していたら……そんな詮無いことを想像してしまった。2021/10/24
筑紫の國造
10
いくつかの事実の間違いを除いて、結構面白く読めた。表題通り、陸軍のスパイ養成機関であった中野学校一期生の回顧録。話は終始三人称で進み、中野学校に入ってから、大東亜戦争後の皇統護持工作(「本丸」)までが綴られている。スパイ小説の要素があり、かなり読みやすい。もう少し、中野での授業について具体的に触れて欲しかった。気になるのは、文体があまりにも小説チックなことだ。どこまでが事実なのか疑わしくなる。しかし著者の言うように人知れず異国の土となった人は多いのだろう。名もなき中野の戦士たちには、ただ合掌しかない。2018/07/10
yamatoshiuruhashi
7
映画「陸軍中野学校」の監修、脚本にも関わった作者の本。映画の原作と言っても良いだろう。柳広司の「ジョーカーゲーム」シリーズの底本ともなっているとも思われる。陸軍中野学校はどういう人材を育てようとしていたのか、謀略とは国家において非常に大切なものなのに、中韓の情報戦、歴史戦(謀略)に如何に無防備か。昔の本なのに今まさに思い知らされる。ずいぶん前に読んだ「陸軍中野学校秘録」の加筆版と思われるが全く説明なし。そういうところから考えると、作者の「日下部一郎」氏は本名なのか、はたまた実在の人物なのか。2015/09/08
泉 勇一郎
3
いやいや、元々の存在が秘密なのだから仕方ないとしても、ここまで国家の事を思い、そしてほとんど誰からも(時には家族からも)知られずに姿を消していった者たちの話は感無量であった。書籍としての評価は、もっとフィクションっぽくしてリズミカルに進めるともっと面白かったと思う。85点。困難なのは分かるが、写真等を加えてくれれば尚良かったな。2019/12/21
おい
2
内容の真偽は不明であり、物語として書かれたストーリー展開もいまいち。あまり知られていない史実を表現するのは難しいのだろう。 ★★2018/05/06