内容説明
本書は、価格と貨幣、稀少性、資本と労働、市場と組織、といった経済学でおなじみのテーマを扱いながら、独特のシステム論的分析によって、われわれ現代社会・経済の観察者に新鮮な知的衝撃を与えてくれる。
目次
第1章 価格
第2章 オートポイエティック・システムとしての社会の経済
第3章 経済システムの内的環境としての市場
第4章 経済システムにおける二重循環運動
第5章 資本と労働―区別の問題
第6章 稀少性
第7章 コミュニケーション・メディアとしての貨幣―象徴的一般化と悪魔的一般化
第8章 意思決定行動の社会学的局面
第9章 メディアと組織
第10章 制御の限界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
継続を目的とするオートポエティックな社会システムから見ると、経済は収奪に始まり、収奪者の所有と非収奪者の甘受の状況が継続する必要がある。一方、両者の関係が固定されるとシステムは継続の危機に陥る矛盾を抱える。そこで非収奪者が収奪者に転換する余地に交換が起こり、貨幣によるコミュニケーションが始まると捉えられる。この考えは暴力的な「原初的蓄積」を経済の根幹に置いたマルクスの経済学批判に似ているが、経済を社会内の物質代謝に準えたマルクスと異なり、著者は経済を社会外の環境とコミュニケートしうる身体性を持つと見なす。2024/07/12
ぷほは
2
原著刊行は88年。後期ルーマンの『社会の~』シリーズの第一作で、この後『社会の法』や『社会の科学』などが刊行されていく。要は機能分化理論の個別領域の分析であり、最初に選ばれた経済から入っていくのが正しかろう。。と思ってはいけない。概してルーマンの著作は長いものの方がわかりやすいし、そもそもこれはバラバラの時期に書かれた論文集であり、他のシリーズに比べ薄味かつ散漫である。7章の象徴的一般化と悪魔的一般化の議論の復習のため読んだが、セールやジラールだけでなく、ケネス・バークまで参照していたのは見逃していた。2017/10/14
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