出版社内容情報
《内容》 長年にわたり医学の臨床,教育,研究に携わってきた著者が,歴史的視野から医学と医療を見直そうと一念発起し,膨大な資料を収集検証してまとめあげたユニークな書.内容は,医学と医療を築いた人々,わが国の医学と医療の歩み,医学教育,医師,病気と病人,病院,健康保険制度の歩みと問題点,医療と社会と広範囲に及び,医学と医療に関係する実に様々な事柄が,たいへん興味深く語られている.どの部分から読み始めても読者をあきさせない論述のうちに,今後の医学と医療を考える上で欠かせない貴重な示唆に富む様々な事実の再発見と,忌憚のない著者の見解が語られている.医師ばかりでなく,すべての医療従事者・医療関係者に一読をお薦めしたい書. 《目次》 医学と医療 総括と展望1章.医学と医療を築いた人々 はじめに 1.古代の医学 2.ギリシャ自然哲学の誕生 3.ギリシャ神話と医神アスクレピウス 4.ヒポクラテスとその学派とアレキサンドリア 5.セルススとガレノス 6.キリスト教団の癒しとギリシャ医療の根絶 7.ビザンチン医学の衰退とアラビア医学の興隆 8.サレルノ医学校 9.大学の創立 10.人体描写のルネッサンス 11.パラケルスス―権威盲従をやめ経験尊重を説いた放浪の医学者 12.ヴザリウス―医学の近世を告げた人 13.ウイリアム・ハーヴィ―生理学の夜明け 14.アンブロアズ・パレ―近代外科学の源流 15.学者的伝統と職人的伝統 16.ミクロの世界を拓いた人々 17.病院の医学 18.クロード・ベルナール―実験医学に生きた人 19.フローレンス・ナイチンゲ-ル―看護学の創始者 20.大学の近代化―ベルリン大学の設立 21.ローベルト・コッホ―結核との闘い 22.ポール・エールリッヒ―化学療法の創始者 23.フリードリヒ・ミュラー―ドイツの内科教授 24.ウイリアム・オスラー―医学・医療・教育の伝導者 25.死の病を救ったインスリン 26.ペニシリン―化膿症を救った人々 27.20世紀後半の医学と医療2章.わが国の医学と医療の歩み はじめに 1.わが国の医神 2.朝鮮・中国医学の伝来 3.山脇東洋―日本のヴザリウス 4.解体新書は誰の業績か 5.華岡青洲―世界最初の全麻酔手術の成功者 6.南蛮医学と紅毛外科 7.適 塾 8.種痘所と医学所 9.明治維新前後の国内情勢 10.西洋医学教育の夜明け 11.脚気論争3章.医学教育 1.わが国の医学教育の歩み 1.外人教師のみた明治初期の医学教育 2.医科大学と医学専門学校の2コース誕生 3.国立大学の充実 4.公立・私立の医学校 5.女子医学校 6.戦時中の医学校開校ラッシュ 7.医療の普及による医大開校ラッシュ 2.医学教育の現状と問題点 1.教育とは心に火を点け人を動かすこと 2.一般教育 3.専門教育の目標と達成条件 4.専門教育の質と量と改革の方向 5.講座,専門家のいない科目への対策 6.学生数に対する教員数の割合 7.就業年限 8.医科大学,大学病院の点検・評価 9.教員について 10.卒後教育4章.医師 1.医師像 2.医師法と医療法 3.医師会 4.医学会 5.医師の職業倫理 6.医師国家試験 7.専門医の認定 8.医師数 9.厚生省5章.病気と病人 病 気 1.健康と病気の語源 2.病気と異常 3.病気の分類 4.日本人の死因と体格の変遷 病 人 1.病人の特殊性 2.病人の心理 3.患者の権利 4.患者の自己決定権 5.患者の知る権利と病名告知 6.安楽死と尊厳死 7.医療とQOL 8.患者教育 9.患者の友の会・家族の会6章.病 院 1.病院の歴史 1.欧米の病院の歴史 2.わが国の病院の歩み 3.赤十字と赤十字病院―救護要員の訓練・待機病院で始まる 4.厚生連病院―農民の組合病院で始まる 5.済生会病院―天皇様のお助け病院で始まる 6.低所得者医療と民医連病院―実費診療所と無産者診療所 7.JR病院と逓信病院―国営現業の職域病院 8.社会保険・厚生年金・労災病院―社会保障関連病院 9.国立病院―軍病院の移管で始まる 2.病院の現状と問題点 1.病院設立の目的の喪失と横並び体制の今後 2.近代病院の機構 3.病院機能の評価 4.病院の活性化と医師人事 5.新入職員に望むこと7章.健康保険制度の歩みと問題点 1.健康保険制度の変遷 2.健康保険制度の問題点 3.アメリカの医療保険 4.その他の主要国の医療保険制度8.医療と社会 1.医療と倫理的問題 2.人口問題と医療 3.環境破壊と医療 4.宗教と医療 5.戦争と医療 6.社会改造は可能か人名索引一般索引
内容説明
本書には、臨床と教育、研究をしているうちに、このことは語り継いでおきたいと思うことがいくつか浮かんできて、その重要性が次第に明確になった事項について述べた。我々はとかく差し迫ったことにばかり気をとられ、事の由来や現在までの経緯について調べようとしない傾向があるが、問題を解く鍵がその中から見出されることが少なくない。この点から医学教育、医療、健康保険の問題を明治時代まで遡って記述した。
目次
1章 医学と医療を築いた人々
2章 わが国の医学と医療の歩み
3章 医学教育
4章 医師
5章 病気と病人
6章 病院
7章 健康保険制度の歩みと問題点
8章 医療と社会



