目次
第1部 人格の対象関係論(人格における分裂的要因;精神病と精神神経症の、修正された精神病理学;抑圧と、悪い対象の回帰(とくに戦争神経症に言及して) ほか)
第2部 臨床的論文集(ある女性患者のいだいた宗教的幻想についての覚え書き;一人の生殖器に異常のある患者の分析に見られたいくつかの特徴;分析治療中の患者たちに及ぼした国王陛下の崩御の影響)
第3部 社会心理学的論文集(精神分析学から見た共産主義の社会的意義について;心理学における必須科目と禁止科目;戦争神経症―その本質と意義 ほか)
著者等紹介
山口泰司[ヤマグチヤスジ]
1941年東京に生まれる。1965年早稲田大学第一文学部卒業。1973年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、明治大学教授。財団法人東方研究会兼任研究員。哲学・心理学専攻
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感想・レビュー
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Masakazu Shimamura
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愛する病・愛される病として記述したフェアバーンのスキゾイド論。スキゾイド的な特徴を持つ者は、愛によって飲み込まれ、愛によって破壊される激しい恐怖に苛まれるため、愛することも愛されることにも距離を置き、情緒的な接触を拒む。そのため、孤独に陥り、孤独に耐え兼ね、愛を求め放浪するが、再び激しい恐怖が巻き起こり、彼らを苦しめる。彼らにとって人生は、まるで監獄での拷問のようであり、希望はなく、虚無に吸い込まれる。 クラインと対照的にフェアバーンのフロイトと距離を置こうとする姿勢に、彼のスキゾイドを感じる。2017/08/26