内容説明
鳥類学者、粘り強い観察で深層を解明。現場から実況風にお送りする鳥類学者の「ニュースなカラス」観察奮闘記。
目次
第1部 水道の栓を回す、目的によって水量も変える「水道ガラス」(忘れられない瞬間;胸ときめくカラス観察;観察日記;さらなる新事実;ほかにもある水道の栓回し;技を身につけるまで、そして悲しい結末)
第2部 かしこいカラス、こまったカラス―ニュースなカラスの「事件」の真相(車を利用したクルミ割り;カラスがつくる都心のビワ園;カラスの置き石事件;石鹸を盗む;ろうそくをもち去り、火事を起こす;まだまだある、ニュースなカラス)
第3部 人とともに生きる(カラスという生き方、カラスという生きもの;カラスの知能;未来のカラス)
著者等紹介
樋口広芳[ヒグチヒロヨシ]
1948年横浜生まれ。東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。農学博士。米国ミシガン大学動物学博物館客員研究員、日本野鳥の会・研究センター所長、東京大学大学院教授を経て、東京大学名誉教授、慶應義塾大学訪問教授。専門は鳥類学、生態学、保全生物学。日本鳥学会元会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
66
(2025-31)【図書館本-24】カラスは賢い鳥だ。どのくらい賢いのかと言うと。喉が渇いたと思ったら自分で公園の水道の蛇口を捻り水を出すくらいに賢い。胡桃が食べたいって思ったら、停車した車の前に胡桃を置いて車に割らせるくらいに賢い。え!そんなこともできるんだって言う話が盛りだくさん。でも全部のカラスができるわけじゃなくて、一部のカラスだけらしい。蛇口を捻るカラスもできるのは、あるメスのカラスで、旦那さんカラスは奥様が開けてくれるのをじっと待っているそうな。なんだか、その辺も人間みたいですね。★★★★2025/03/02
shikashika555
51
カラスが好きで一般向けカラス本を見つけると買ってしまう。これも書店で見つけて衝動買い。 カラスにとっては、たまたま近所で共生してる形になってる人間社会のシステムを利用し、精一杯カラスなりの合理的行動をとって生きているだけなのだが。 各地で起きる怪事件?の犯人がカラスであった、というニュースを通してカラスの生態を紹介する本。 なんと、記載のQRコードを読み取ると関連動画に飛べてカラスの合理的行動(笑)を見ることができる。たのしい。 2022/02/20
booklight
34
蛇口を開ける、琵琶園を作る、線路に置き石をする、ボヤを起こす、煙を浴びるなど様々なカラスの観察記録が語られる。丁寧な観察がその目的や背景を教えてくれるし、カラスの面白さやカラスへの愛情が伝わってくるのがいい。大脳の発達したカラスは人間社会という環境に柔軟に適応でき、道具も使える。カラスは鳥の世界の霊長類だ、という。だとすると、人間とカラスの違いは羽と嘴の有無ぐらい。環境が変われば人間もカラス並みに環境に適応していく。それが大脳の本質。あの黒い鳥は、収斂進化の先の大脳仲間なんだと思うと、ちょっと複雑な気分。2022/11/23
あじ
33
越冬のため渡ったキジバトと惜別したのが2ヶ月前。その後、私の慰めとなってくれたのがハシブトガラスのカップルだ。広義で言う野鳥観察から個体観察の面白さを見出し始めていた私は、二羽を見守る事が日課になった。向こうも私を意識しているようで実に愉快。お互いのテリトリーを尊重した関係が、今後も継続することを願っている。本書で取り上げる「ニュースなカラス」とは“誰がこんなイタズラを?”とメディアで取り上げるような生態にクローズアップしている。個体を識別できたら世界は広がる!◆QRコード付き※付随した動画に紐づけ2021/12/29
宇宙猫
23
★★★★ 水道栓をひねって水を飲むカラス、レールに石を置くカラスなど、ニュースになったカラスが何故その行動をしたのかとか、その後についてまで書かれていて面白かった。特にビワの木とカラスの関係が興味深い。D2022/04/22