出版社内容情報
君の百倍、僕は君が好きだ。
僕の世界の真ん中は、もう僕じゃない。それはひどく幸せなことだった。
総合病院の長男である加賀谷は、周囲の期待が重苦しかった。
そんな時に出会った蓮に好意を示され、舞い上がるような心地になる。
借金を背負いながらも一生懸命に生きている彼の力になりたいと思う。
なのに──愛した「蓮」は恋愛詐欺師だった。
彼と過ごした甘やかな時間、それが嘘だとはどうしても受け入れられず……。
短編『ありがとう』も初収録
今からでも遅くない。
彼が幼いころもらえなかった幸せを、できるかぎり僕があげよう。
そうしてこの家に彼のものがたくさん溢れて、その一つ一つが彼の毎日を確かな幸せで彩って、
彼を笑顔にしてくれたなら、それだけできっともう僕も幸せだろうから。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
79
あぁー。という感想でした。それでも全部読んでしまいました。TLは産まれて始めて読みました。2025/04/26
ウッディ
78
男性対象の恋愛詐欺師である透は、蓮と名乗り、大病院の長男である聡に近づく。金をもらって消えるつもりが、聡の純粋な気持ちに接するうちに、居心地の悪さと安心感を覚える。ゲイの恋愛小説で、生々しいラブシーン描写もあるものの、透と聡の気持ちが真っすぐで、美しいラブストーリーだった。生まれ育った環境の違い、透の屈折など、全てを包み込んでくれる聡の優しさと強さが印象的で、うれしそうに、クリスマスカレンダーの小窓を開ける透が可愛く思えました。BLと言うだけで偏見を持っていた自分を叱ってやりたいと思える素敵な小説でした。2024/08/22
ででんでん
65
凪良さんのBL作品は初めて。やっぱり凪良さんだった。心にバリアを張る透と、恵まれていると見えるが全く違うところで重苦しさを抱えた加賀谷の気持ちのやり取りが切なくも、あたたかい。初めてのアドベントカレンダー…クリスマスが終わってからも壁に飾っている透を見て「彼が惜しんでいるのはカレンダーそのものではなく、楽しみに窓をめくった日々の余韻なのだ」と加賀谷。モノは、確かに単にモノではなくて、容赦なく流れていく時間の中の宝物をピン留めした想いそのものでもある。これから透の心がより主張できるように…なるよね、きっと!2024/04/15
ほのぼの
48
凪良ゆうさんBLジャンルのうち、図書館に蔵書のある数少ない作品のひとつ。予約から10ヶ月待ってようやく読めた。主人公は男専門の恋愛詐欺師の蓮。彼に狙われたカモは医師の加賀谷。このお坊ちゃん育ちの加賀谷がとんでもなく優しい。天使か?菩薩か?しかし蓮は加賀谷の優しさを素直に受け取れない。その葛藤がもどかしい。初めて知った恋の苦しさに涙する蓮と一緒に何度も泣いた。新装版刊行の際に加えられた短編「ありがとう」に登場する加瀬と阿木。『お菓子の家』の主人公らしい。やはり図書館には所蔵無し。またネットでポチるか…。2025/03/16
AICHAN
41
図書館本。恋愛詐欺師の22歳の青年・蓮は養護施設出身で中卒で同性愛者。何度も恋愛詐欺を成功させ、今度は総合病院院長の長男・加賀屋聡に目をつけ、まんまと手中にする。400万円を貢がせたころ、醒めた気持ちでいた蓮は聡とのセックスでそれまで味わったことのない快感を得る。それまで人を愛したことのない蓮は、いま初めて人を愛していると悟る。しかし詐欺犯として逮捕され刑務所に収監される。出所した蓮を聡が出迎え…。2024/07/02