出版社内容情報
平清盛は人情に厚く、指導者としてのバランス感覚と度量の大きさ、政治家としての開明性と器の大きさ、そして軍人としての戦略・戦術における卓越した才能、いずれをとっても一流の人物であり、「万能の巨人」と称されるにふさわしい存在だった。
その志を継いだ息子たちもまた優れた人物である。政治家としても武人としても傑出していた長男・重盛、日本史上まれに見る海軍戦略家・知盛、そして戦術家の重衡など、いずれも現代においてもっと高く評価されるべきであろう。
平家は、従来の土地を基盤とする支配体制を超え、海上インフラの活用や地方の港湾勢力との連携といったネットワークを構築することで、政治・軍事・経済のあらゆる分野において大きな影響力を発揮した。貿易や海軍の重要性をいち早く理解し、日本を発展させようとしたのである。
しかし、壇ノ浦で敗れた平家は、長らく「貴族化して弱体化した存在」として否定的に語られてきた。勝者である源氏によって、平家の功績は意図的に歪められ、正当に評価されることはなかった。
清盛が構想した「海の国・日本」の未来像は葬られ、知盛が築こうとした海軍戦略も顧みられることはなかった。源氏が作り上げた陸戦中心の戦術が正しいとされ続けた結果、日本は海軍の力を十分に活かせず、第二次世界大戦では敗北することとなった。
敗者となった平家に関する史料は決して多くはない。しかし著者は『平家物語』をはじめとする軍記物語の中に断片的に現れる真実を丁寧に拾い上げ、平家一門の実像を浮かび上がらせている。そしてその再評価を通じて、新たな歴史学の可能性を切り拓こうとしている。
【目次】
第一章 海の平家 分析の前提
第二章 平家の台頭
第三章 清盛の世紀
第四章 河内源氏の反乱
第五章 陸から海へ
第六章 西海の死闘
【目次】
第一章 海の平家 分析の前提
第二章 平家の台頭
第三章 清盛の世紀
第四章 河内源氏の反乱
第五章 陸から海へ
第六章 西海の死闘