内容説明
昭和12年の盧溝橋事件を発端とする北支事変・支那事変を、従来の研究で見逃されてきた「戦費調達問題」から分析した画期的論考。拡大論者が主導権を握って戦面を広げていったといわれる陸軍が戦費調達の問題にどう対応したのか。戦費調達のスキームを考案した大蔵省は財政資源が限られる中で戦費の増大にどう対応したのか。そして、それは事変の行方にどんな影響をもたらしたのか。北支事件特別税法案、臨時軍事費予算案などの帝国議会での審議過程を検証。
目次
第1章 北支事変と陸軍(事変の勃発と戦費調達;不拡大方針と戦費調達;事変の拡大と戦費調達;陸軍官僚制という制約)
第2章 第七一回特別議会(政党の動向;第一次北支事件費;北支事件特別税法案;第二次北支事件費)
第3章 戦費調達の政治過程(上海への事変の拡大;戦時体制への出発;省庁の対応と議会対策)
第4章 第七二回臨時議会(政党の動向;臨時軍事費予算案;臨時軍事費特別会計法案と臨時資金調整法案)
第5章 臨時軍事費特別会計の政治的意味(臨時軍事費特別会計をめぐる諸問題;対ソ戦備と軍備充実計画;臨時軍事費特別会計を導入した大蔵省の意図)
著者等紹介
大前信也[オオマエシンヤ]
大和大学政治経済学部教授、奈良県立大学地域創造学部客員教授。昭和34年(1959)奈良県に生まれる。慶應義塾大学文学部、京都大学法学部卒業、コーネル大学大学院アジア研究科修士課程修了、京都大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程研究指導認定退学。専門は日本政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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