内容説明
兵器を身体の模倣と捉え、どのように道具、機械、装置に置換させてきたかを歴史的に明らかにする。
目次
序章 身体の兵器化
第1章 破壊体の発達
第2章 発射体の発達
第3章 運搬体の発達
第4章 運用体の発達
第5章 リヴァイアサンの誕生
終章 兵器の身体化
著者等紹介
加藤朗[カトウアキラ]
1951年鳥取県生まれ。1981年早稲田大学大学院政治学研究科国際政治修士修了。同年防衛庁防衛研修所(後に研究所に改称)助手。1985~86年スタンフォード大学フーバー研究所客員研究員。1989~90年ハーバード大学国際安全保障研究所客員研究員。1996年桜美林大学国際学部助教授、2001年同教授、2007年同大学院教授
石津朋之[イシズトモユキ]
防衛省防衛研究所戦史部主任研究官、戦略研究学会常任理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
18
兵器の歴史を「身体の延長化」として捉えて、力の延長にある「破壊体(エネルギー)、「投射体(飛び道具)」、足の延長である「運搬体(乗り物)」、頭の延長である「運用体(情報処理)」の四つに分けて解説。極めて圧縮的だが注が詳しく、兵器の未来まで踏まえて、SF的なビジョンまで語っている点かなり面白い。この手の思想的見取り図が先行した著作はその知識の正確性が残念なこともあるが、著者はベテランの安全保障研究者でありその点についても高い評価ができる。残念なのはボリュームが薄く、本格的に学ぶにはまだ足りない感2013/10/09
蛇の婿
8
非常に読みやすい本でした。2、3箇所の記述で一次、二次資料ではなく三次、四次資料を論拠にして断定してしまっている部分がありますが、身体の延長としての兵器の発展という視点がメインなので、まぁ読んでいる人間がその部分を押さえていればいいかな、と。私のようなドシロウトが読むには非常に良い本です。2014/11/20
無重力蜜柑
7
有史以来の兵器の歴史を「兵器は身体機能の拡張である」という観点から駆け抜けるスピード感のある本。兵器の機能の基本は破壊体、発射体、運搬体、運用体の四つ。最初の三つは突き詰めれば人間の筋力の拡張、外部化であり、破壊体は核兵器で、発射体はミサイルで、運搬体は航空機や空母や戦車で事実上の発展限界を迎えている。あとは小型化や精密化という方向に向かうしかなく、その核となるのが情報技術による運用体の改良つまりスマート化である。さらにこの四つの機能をネットワークが統合することでグローバルなリヴァイアサンが生まれる。2022/07/09
フルボッコス代官
2
結構な回数読んだ。肉体が武器という時代からも含め、現代の近代兵器が力学的・物理学的視点から詳述され、一見軍事史・人文歴史かと思いきや、理科学系部門からもアプローチも可能だということがわかる。面白い。
Ohta "Landsman" Tohkan
1
あとがきで言われているように兵器研究や軍備史というのはしばしばマニアによる技術性能を中心とした発展論に終始しやすい。その点において本書の4章までの解説は本質的な変革を抑え、4要素に大別しているという点で初学者に的確な情報を伝えられている。 一方後半の5章と終章における既存兵器のバロック化と兵器システムの一体化、身体化という概念はこれまでの国内における兵器研究にはなかった鳥瞰的な視点であり、刺激的だ。個人的にはむしろ後半こそが本書を読む価値であると思う次第だ。 2020/06/08