内容説明
制空権の重要性と戦略爆撃の意義を唱え、第二次大戦での航空戦略の運用思想に大きな影響を与え、空軍が独立軍種となる基礎を作ったドゥーエの著作を通して、今日の航空戦略の運用思想を考察する。
目次
『制空 第1編』(戦争の新しい方法;空軍;航空戦闘;空軍の編制)
『制空 第2編』
解題 航空戦略の祖・ドゥーエの思想と歴史的位置づけ(ドゥーエの時代;ドゥーエの主張;ドゥーエの思想の意義と影響;ドゥーエの思想と現代航空戦略)
著者等紹介
瀬井勝公[セイカツヒロ]
統合幕僚学校主任研究官。1945年生れ。1968年防衛大学校卒業。1989年中部航空方面隊司令部防衛班長、1990年統合幕僚会議事務局在日米軍司令部連絡官、1992年南西防空管制群司令、1994年航空総隊司令部防衛課長、1996年防衛大学校教授(航空防衛学教室)、1999年航空自衛幹部学校研究部長、2000年退官
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感想・レビュー
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Mealla0v0
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WWIを承け、飛行機という新たなテクノロジーを戦争においていかに利用するのか――ドゥーエはこの問いに対して、今日「戦略爆撃」と呼ばれるものの萌芽を答えとした。兵士でなくとも戦争のためにすべてが動員される総力戦において、前線/後方/銃後の区別は崩壊した。しかも飛行機はそれを飛び越えていける。ならば、敵の人口密集地を攻撃すべきだ! ドゥーエのそうした主張は無差別攻撃の容認であった。爆撃重視の空戦を提唱したかれは、それによって「制空権」を掌握とした。その思想は今日のドローンにまで受け継がれている。2017/08/07
nakaji47
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新技術の意味と将来性を理解し新しいドクトリンを発想する能力が如何に必要か。2008/02/12
とく
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第1次大戦後に空軍の必要性をひたすら説いたドゥーエの論文を収録。『航空攻撃は自由に攻撃場所を選択出来るから、最もインパクトがある部分を最大限に攻撃すべき』『そのために全力で制空を確保すべき』としっかりと本質を見極めて強く主張した点が現代まで評価され、影響を与えている理由だろう。ネット上では『都市への戦略爆撃を肯定した悪魔の書』的な評もあるが、実際に読んでみると、第1次大戦という国民の士気が戦局に大きく影響を与えた戦争を経験した反省という側面が大きい。やはり、こういう本はちゃんと読まないといけないな、と。