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内容説明
大人になんてなりたくなかった。傲慢で、自分勝手な理屈を振りかざして、くだらない言い訳を繰り返す。そして、見え透いた安い論理で子供を丸め込もうとする。でも、早く大人になりたかった。自分はあまりにも弱く、みじめで戦う手段を持たなかった。このままでは、この小さな町で息が詰まって死んでしまうと分かっていた。実弾が、欲しかった。どこにも、行く場所がなく、そしてどこかへ逃げたいと思っていた。そんな13歳の二人の少女が出会った。山田なぎさ―片田舎に暮らし、早く卒業し、社会に出たいと思っているリアリスト。海野藻屑―自分のことを人魚だと言い張る少し不思議な転校生の女の子。二人は言葉を交わして、ともに同じ空気を吸い、思いをはせる。全ては生きるために、生き残っていくために―。これは、そんな二人の小さな小さな物語。渾身の青春暗黒ミステリー。
著者等紹介
桜庭一樹[サクラバカズキ]
ファミ通えんため大賞出身。ノベライズからオリジナルまで幅広く執筆。GOSICK―ゴシック―を中心に執筆中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いりあ
43
2004年に出版された桜庭一樹の作品です。表紙のイラストや砂糖菓子というタイトルなどスイートなイメージとは裏腹に内容は暗く重いです。この頃の少女を主人公にした桜庭作品は、たいがい不安定なんですが、本作が一番読んでて不安になるかもしれないです。田舎に住む山田なぎさと東京から転校してきた自分を人魚と言い張る海野藻屑の1ヶ月の交流を描いてます。少女から見た世界なので登場人物や出てくる場所は極端に少ないです。この閉塞的な感じが余計に息苦しさを増しているんだと思います。バッドエンドに至る過程を読むのはやはりツライ。2013/11/19
YO-HEY@紅蓮ロデオ
29
推定少女の次に買った作品。この作品で桜庭一樹に魅了されたと言っても過言じゃないね。表紙と内容にギャップがありすぎて逆にキツかった2010/03/07
ほむら
27
海野藻屑は今は良く言われる中二病の先駆者かもしれないと思いました。ただしコミカルではないですが。実弾を求めながら甘い砂糖菓子の世界に飲み込まれて行く山田なぎさと人魚の彼女。この薄さで、ずいぶんずっしりした内容でした。藻屑の撃つロリポップに埋め尽くされたなぎさはやがてそれに身を任せていきます。しかし彼女を待っていた結末はーーー…。甘い十三歳の日々はそこはかとない狂気と残酷さをまとい、他人が大人になる前の助走を始めるのをもどかしく眺め、それでもいつ来るやもしれぬ大人になるその日を待つしかない…。2014/01/22
ヤギ郎
21
中学生の青春物語の中に,「少女」を「痛めつける」ということが書き込まれている。誰しも「弾丸」を持っている。2019/06/10
きりぎりす
21
痛い話だけど、藻屑の嘘の中に隠された悲惨な現実はあまりにも辛かったけど、救いがない訳ではなかったかな。まだ力を持たない藻屑は嘘をつくことで、なぎさは冷めて達観することで現実から逃避していた。次々に目にするおぞましい藻屑の日常には胸が痛くなった。子どもはどんなに頑張っても大人の圧倒的な力には敵わない。ラストは最初からわかっていたとはいえとても苦しい。 でも藻屑の撃った弾はなぎさと友彦の人生を変えていく。 撃ち抜いたよ、砂糖菓子の弾丸でも。子どもたち!生き抜いて大人になれ!2012/01/25