内容説明
甲賀弦之介と朧は白刃をひっさげてじっとむかいあった。朧が歩き出した。弦之介は依然としてブラリと刀身をさげ、無防御の姿で立っている。朧の刃が弦之介の胸まであがった。と、この時、思いがけない事が起った。…阿福の顔色が一変した。「だれが弦之介を討ってたも。」逆上し、せっかく呼んだ服部半蔵の事を忘れた。朧が敗れた。それは竹千代の敗れた事であった。竹千代か国千代か?徳川三代将軍の座をめぐって甲賀と伊賀の忍者各十人がくりひろげる凄絶な死闘の果てにただよう哀しい恋情。奇想天外。風太郎忍法帖第一作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リュウジ
12
★3 何十年ぶりかの再読。本箱の風太郎蔵書から引っ張り出したのは忍法帖第一作目。印象が強烈だったせいか、全てではないが筋や内容を結構覚えていた。徳川三代目将軍の座を賭けて甲賀十人伊賀十人が対決。ある者は化け物となり、ある者はキテレツな妙術を繰り出し殺し合う。それを病理学、白血球、唾液千五百ccといった当時はなかった現代用語を駆使し説明を加えるので、そんな忍法が本当にあったかのよう。風太郎の真骨頂だ。「忍びの家」のように海外でもきっと受けるよ。アメコミ「X-メン」と戦えばどっちが強いかな?と想像しつつ読了。2024/03/08
ぶうたん
4
今更読む風太郎忍法帖の第1作。多分初読だと思うのだが。背景はあれど、基本的には忍者同士の不可思議な技を駆使した死闘を主眼としていて単純で面白い。ここまで荒唐無稽な忍法は、当時でも珍しかったのではないかな。2015/07/04
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