内容説明
「美しゅうなったの」と会釈をすませた敷妙に虎夜叉(楠正儀)は言った。「そなたの苦労は察しておる…」正儀の愛人・敷妙は足利尊氏の庶子・直冬の愛妾となり、高師直と対立させ足利方の乱れを誘う。楠正成亡き後、南朝の中心となり戦う兄・正行とは性格を異にする正儀は変節漢で謎に包まれた人物。その正儀を中心に動乱にうずまく南北朝を豊かな構想のもとに描いた歴史大作!第2回直木賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
77
直木賞】公家から武家に実権が移り、師直のやりたい放題。戦がしばらくなく太平な世の中になったのに。無理矢理言うことを聞かせる。一貫性があり納得する人も。権力を持つことの意味、心使い、迅速な行動が大事。人物描写が丁寧。物語の展開もすごい。2014/06/04
おか
36
第2回直木賞受賞作 ちょっとした気まぐれで 直木賞と芥川賞作品を順番に読むという無謀な(笑)計画を立てたが。。。あはははは もろに私の苦手な現実の史実に基づくって世界です。今作は楠木正成の息子たち3人の生き方の違いを 壮大に書き込んでいる。全5巻に及ぶ物語だが この一巻で終了するつもり(笑) さてさて 第3回直木賞は何かなぁ2025/01/04
Sanchai
1
楠木正行と弁内侍の実らぬ恋から、四条畷合戦での楠木軍の敗北、そして、楠木家の当主が長男正行から三男虎夜叉・正儀に引き継がれるまでを描いている。摂津・河内・和泉・大和あたりの地図を手元に置き、楠木一党の家系図を適宜メモしていかないと、登場人物がどこをどう動いたか、それが誰なのか、頭の中で混乱してくるので理解が大変だが、この5巻シリーズを通じての主人公・楠木正儀の権謀術数の限りを尽くして南北一統を目指すストーリーは結構痛快。第2回直木賞受賞作。2013/07/03
シンチャイナ
0
第2回直木賞受賞作、2018/11/11