内容説明
女帝の女体は淫蕩だった。そして始めて女体を知った道鏡の肉慾も淫縦だった。2人は遊びに飽きなかった。けれども凛冽な魂の気魄と気品の高雅が、いつも道鏡をびっくりさせた。夜の女帝は肉体だったが、昼の女帝は香気を放つ魂だった…。称徳女帝との奔放な愛欲生活を描いて新たな人物像を築いた「道鏡」をはじめ、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、黒田如水、徳川家康など、乱世の英雄・奇才を独自の史観と新鮮な歴史感覚で活写した異色傑作選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
4
歴史物短編6編を収録。史実の緻密な考証というよりは、著名歴史人物にキャラを借りた坂口流人間描写という趣。黒田如水を主人公にした「二流の人」と、秀吉視点(一人称「オレ」!)での作「狂人遺書」が対になっている仕掛けも面白い。切支丹受難を描いた「イノチガケ」は昭和15年発表ということを考えると意味深。2018/07/03
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
1
読んだのは埼玉福祉会の大活字シリーズ版。道鏡目当てに借りたのだが、掲載は道鏡、梟雄(斎藤道三)、織田信長、家康の四人。登場人物の気持ちが丁寧に描かれていたので歴史の流れに納得することが多かった。簡潔なのに情感たっぷり、そして道鏡にあってはとても優しい解釈がされており彼が好きになった。他方、和気清麻呂は純粋で、無知は残酷だという印象を持った。藤原百川など歴史の本当の「悪役」は表に出てこなかったり歴史に残らなかったりするのかなあ(いや、学校で習わないだけ)と思った。2019/02/10
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